おとなと子どもの市民宣言
これからの学校と社会を変えていこう
おとなと子どもの市民宣言
ー大阪府知事・市長ダブル選挙、統一地方選挙を前にー
いまを生きるあなたと、分ち合いたいこと。
わたしたちは、弱いものいじめをするおとなが、えらい人のようにいばって、いのちを粗末にする社会に生きています。
なんでも多数決で決めて、反対する人がいても、そんな意見は聞かなくてもいいと無視する政治が許されています。
問題がおきたとき、話し合って解決するのではなく、暴力で相手をやっつけて解決したらいいんだというやり方が、社会にひろがっています。
世の中には、役に立つ人と、役に立たない人がいて、役に立たない人は生きていてもしかたがないんだという、ひどい考え方が、毎日、伝えられる社会です。
わたしたちは、こんな社会はしんどい、未来に希望がもてない、と感じています。
子どもたちからも、しんどい、生きていくのがつらい、という声が聞こえてきます。
こんな時代だからこそ、わたしたちは、声をあげようと決めました。
弱いものいじめをするおとながいばっている社会を変えたいから。
少数の、小さな声を大切にしたいから。
暴力で相手をやっつけるのではなく、話し合いで解決することをあきらめたくないから。
役に立たない人などいない、一人ひとりのいのちが貴い存在だから。
そして、いまを生きる子どもたちにとって、学校という場が、「生き抜く」ための競争に追い立てられる場ではなく、「生き合う」ための知恵と経験を学ぶ場であってほしいと思います。
生まれてきてよかった。生きていて楽しい。心からそう思える社会にするために。
● 大前提として、どの子も無条件であたりまえに受け入れられ、学び合える場所。
●なにをどんなふうに学ぶか、どんなルールをつくるか、どうすればもっと楽しく過ごせるか、子どもとおとなが話し合って、いっしょにつくっていく場所。
●おとなが正解をもっていて、それを一方的に教えるのではなく、おとなも子どもから意見を聞いて、おたがいに学び合える場所。
●テストの点数が良いか悪いかで、子どもを評価したり、差別したりしない場所。
●しんどいときにひと休みすることが、あたりまえの権利としてみとめられる場所。
●子どももおとなも、困ったときにはいつでも話を聴いてもらえて、助けてもらえる場所。
●子どももおとなも、何度でもまちがってよい、失敗してよい場所。
●一人ひとり違うから、いじめたり、いじめられたりするのではなくて、一人ひとり違うからおもしろい、いっしょにいるのが楽しいと感じられる場所。
学校を変えるために、わたしたちは8つの提言を行います。
提言1 市民としての子どもの声を施策に反映させる仕組みをつくろう
子どもは「おとなになるまでの準備期間」ではなく、いまこの社会をともに生きる市民です。子どもに関するあらゆる事柄について、子どもの声を聴き、子どもにとっていちばんよいことを、おとなと子どもがいっしょに考えるプロセスが大切です。
すべての人が、「子どもの権利」について学び合える機会を施策として実施するとともに、子どもの声を聴き、子ども施策に反映させるための公的な仕組みをつくりましょう。
提言2 おとなも子どもも「ともに学び、ともに育つ」ための条件を整えよう
大阪府・市が掲げてきた「ともに学び、ともに育つ」教育理念が形骸化しないように、学習・生活面の支援を要する子どもも同じ教室で安心して学べるための物的・人的環境をさらに整えましょう。
そして、「ともに学び、ともに育つ」学校づくり・クラスづくりの視点や方法、授業の工夫、現場での試行錯誤について、先生同士も「ともに学び、ともに育つ」経験を積み重ねていけるような機会を充実させましょう。
提言3 テスト漬けの教育をやめよう
大阪府・市の独自の施策である「チャレンジテスト」「すくすくウォッチ」は、学力向上を目指して導入されたものの効果はなく、むしろ、学校の格付けによる序列化など、学校現場での先生と子ども、子ども同士の関係性をゆがめる影響をもたらしているので、廃止しましょう。
提言4 教育の目標と内容は、トップダウンではなくボトムアップで
学習指導要領の総則にも明記されているとおり、本来、教育課程(カリキュラム) の編成権は、学校にあります。
教育の目標と内容は、政治家や教育委員会が勝手に決めてトップダウンで学校現場に押し付けるのではなく、各学校の裁量にゆだね、子どもと先生が話し合い、保護者にも協力を得ながらボトムアップで決めていけるようにしましょう。
提言5 子どもも先生もゆとりをもって過ごせる少人数学級を実現しよう
先生の人数を増やして、少人数学級を実現しましょう。
小規模校は、少人数学級をいち早く実現できる場なので、十把一絡げに統廃合の対象とするのではなく、小規模校ならではの条件を活かして特色ある学校づくりをすすめられるようにバックアップしましょう。
提言6 先生には、余計な事務仕事ではなく、子どもとかかわれる時間を
学校の先生の事務仕事を増やすのをやめましょう。大量の事務書類づくりなどに追われて、教材研究や授業準備に割く時間も、子どもと直接かかわってコミュニケーションを交わす時間も奪われています。先生が子どもとかかわる時間を削らないといけなくなるような施策や通達は、子どもの不利益になるので、廃止しましょう。
提言7 先生がいきいきと働けるために、評価ではなくサポートを
学校の先生になりたいと思う人がもっと増えるように、学校の先生をがんじがらめに管理して、心身をすり減らしていくことにつながる評価制度を廃止しましょう。そして、先生が失敗を恐れずに安心して思考錯誤でき、仕事へのやりがいや喜びを感じられるようなサポートを充実させましょう。
提言8 学校がより居心地のよい場となるための試みを応援しよう
一部の公立中学校・高校で先駆的に取り組まれている校内居場所カフェなど、学校が子どもにとってより居心地のよい場となるための現場レベルでのさまざまな試みをバックアップし、さらに広げていけるような施策を充実させましょう。
いっしょに行動しましょう。そして、社会を変えていきましょう。
わたしたちの提言に賛同し、自らがいま生きている場所から、声をあげ、行動する市民とつながり、その輪を広げます。
そして、提言の趣旨を理解し、その実現のために誠実に努力する政治を求めます。
わたしたちの社会は、わたしたちの行動で変えていきます。
わたしたちのすぐそばで、いまを生きる子どもたちとともに、いっしょに変えていきます。
2023年3月7日
公益社団法人子ども情報研究センター
大阪の子ども施策を考える市民研究部会 一同