「インクルーシブ教育への道筋を探る」を終えて
10/26に、当センター「障害児の生活と共育を考える部会」と公教育計画学会の共催で、<インクルーシブ教育への道筋を探る>をテーマに集会をおこないました。
一木玲子さんと福地健太郎さんから、「国連障害者権利委員会 第一回日本審査プレセッション参加報告とインクルーシブ教育実現への課題」として、ジュネーブで開かれたプレセッションの参加報告などがありました。いち早く参加報告を聞きたいと、全国各地から参加者が集まりました。日本は、障害者権利条約を2014年に批准しています。批准国は、国連の定期審査を受ける義務があります。日本政府が提出した報告書に対して、来夏に国連からの勧告が出る予定です。
自由討議の中で、
「子どもの権利条約の二の舞にはならないよう、今、行動しよう!」という、報告者、参加者からのメッセージが発せられました。
日本の教育が、特別支援教育が、障害者権利条約のいう「インクルーシブ教育」ではない現状をしっかり伝えよう!来年の勧告が勝負。批准国が増え、国連審査に時間がかかり、来年の審査を見送ると、次の定期審査はどんどん遅れていく可能性があるそうです。
(報告の詳細は、機関誌『はらっぱ』2020年3月号に掲載予定です。)
当事者、関わる支援者、親、先生、様々な人たちが集まり、障害のある子どもを排除しない、共に学び育つ、運動・実践が全国各地にあります。しかし、まだまだ、排除・親の付き添い(強制)等々の実態があります。
「二の舞には!」という声は、障害分野の集会では何度も聞いてきました。
「子どもの権利条約」でいう、子ども主体の政策が進まない、障害児の権利が保障されていない、条約の存在が社会に広まっていない…。その二の舞は…その言葉をきくたびに、子ども情報研究センターで長らく働き、活動をしてきた身としては、言葉が突き刺さり、思わず下を向いてしまいます。 「子どもの権利条約」批准から25年の今年。子どもの虐待死、学校での体罰の報道も相次いでいます。
子ども情報研究センターは、子どもの権利条約を基盤として、事業をおこなっています。子どものため、というおとなの考えではなく、子どもと共に、子どもと考え悩むことしか共生はないのではないかと思います。
子どもの権利条約の存在自体も、まだまだ世間では知られていません。
折しも今月、障害児の共生教育に力を注いでこられたお二人の文章を読む機会を得ました。
1冊めは、石川県の徳田茂さん(ひまわり教室・元代表)のご著書『共に生き、共に育つ 障害児保育の現場から/社会の壁をなくすために』。ひまわり教室は、当センターの会員でもあり、障害児の生活を考える部会との交流、昨年は職員研修で子ども情報研究センターを訪問してくださいました。
そして、2冊めは、北口昌弘さんの遺稿集『共に学び 自己実現へ』です。彼は、当センター障害児部会の学習会や、子どもの権利条約フォーラム等に積極的に参加してくださっていました。
手を挙げ、大きな声で、当事者の立場から、障害児も地域の学校で育ち学ぶことは当然の権利だと一貫して発言されていました。2年前の夏、病気で天国へ旅立ちました。私は、障害児の共に学ぶ教育に関わる集会でよくお会いする仲でした。常にぶれずにそこにいる人でした。42歳、大切な仲間がいないことは本当にさみしいです。
徳田さんの本には、現代社会で生きていると人は「深く呼吸を忘れ」がち。「人はまちがいをする」「自分のことを棚に上げるな」とあります。深く息を吸い、大事なことを見つめ返したいと思います。そして、いっぱい悩み、まちがい、許しあい、助けあい、進んでいくしかないのだろうと思います。
お二人の言葉を胸に刻んで、諦めずにいたいと思います。ため息をつくこと、下を向くこともいっぱいありますが、顔を上げれば仲間がいます(と信じたい)。
共に活動する仲間を大事に、そして、仲間を増やそう!
子ども情報研究センター
理事 山崎秀子