2019年1月~3月(はらっぱ編集部)
1/7 公立校の入学願書性別欄廃止広がる(朝日新聞調査)。
2019年春の入試から大阪府と福岡県が入試願書の性別欄を廃止すると決めたことを受け朝日新聞が全国47都道府県の教育委員会にアンケート調査を実施。神奈川、熊本、徳島の3県は2020年春からの廃止を検討、北海道、京都など11道府県も時期は示さなかったものの廃止を検討していることがわかった。
2/5 世界の子ども5人に1人極貧。
ユニセフは、約3億8500万人の子どもが1日1.9ドル(約210円)未満の極貧状態で生活しているとする報告書を発表した。社会保障の保護がある子どもは世界全体で35%。
2/7 警察庁のまとめで、虐待通告件数が過去最多。
親などから虐待を受けた疑いがあるとして、全国の警察が2018年に児童相談所に通告した18歳以下の子どもは8万104人だった。統計がある2004年から増加し、最多。内容を見ると、子どもの心を傷つける「心理的虐待」が5万7326人で全体の約7割。事件として親などを摘発(逮捕・書類送検)した件数は、1355件だった。
2/12 スマホ、長時間、大音量で難聴の危険(WHO発表)。
WHOは、音量制限機能などの搭載を求める国際基準を発表。現状では、世界の若者(12〜35歳)の半数近くに当たる11億人が難聴になる危険性が高いと警告。
3/1 小学生、ネット1日2時間、動画視聴多く(内閣府)。
2018年度青少年のインターネット利用環境に関する実態調査結果によると、1日平均利用時間は小学生1時間58分、中学生2時間44分、高校生3時間37分。使用機器はスマホが最多で70.5%。1〜9歳の低年齢層では保護者対象の調査で56.9%がスマホなどでネットを使っていることがわかった。
3/3 女性議員比率、日本は193か国中165位に(列国議員同盟)。
世界の国会議員が参加する列国議員同盟は、2018年の各国議会の女性進出に関する報告を発表。G7では、日本以外に100位台の国はない。G20でも日本は最下位。報告書は、候補者や議席に占める女性の割合を一定以上にする「クオータ制」が130以上の国で導入され、議会の男女平等に道を開くと指摘。
3/11東日本大震災8年、全国で5万1778人、福島県で3万3千人がなお避難生活(復興庁)。
プレハブで仮設住宅生活を余儀なくされている被災者は、3073人にのぼる。また、環境整備が整っても住民の帰還が進まず人口減少も課題になっている。
日経新聞によると、福島県では、原発事故で全住民が避難した7町村(浪江、双葉、大熊、富岡、葛尾、飯館、楢葉)のうち、避難指示を解除した双葉と大熊を除く5町村の学校数は2018年度で5校。事故前は14校で2941人いた児童数は140人、4.7%にとどまる。(3.15)
3/20日本の幸福度58位に低下(国連)。
「国連幸福デー」に指定している20日に国別幸福度をまとめた報告書が発表された。各国の一人当たり国内総生産、社会支援、健康寿命、寛容さなどを基準に「幸福度」を数値化し順位づけした。日本は156か国・地域中58位で前年54位から下がった。
3/22戦後初めて、10代前半の死因 自殺が1位(17年厚労省まとめ)。
2017年の人口動態統計で戦後初めて日本人の10〜14歳の死因として自殺が1位になっていることがわかった。国内の自殺者数は2013年の3万2千人をピークに減少し2017年は2万465人と36%減少しているが、10代だけは横ばい状態となっている。
3/28 DV相談、前年上回る7.7万件(警察庁)。
DV改正法が施行された2001年以降相談件数は増加している。2018年は前年を5027件上回った。摘発事件数は9088件、うち6割弱が暴行罪、殺人2件、傷害致死も3件あった。2018年のストーカー被害相談件数は、2万1559件。摘発は、傷害、脅迫などの刑法犯・特別法犯が1594件、ストーカー規制法違反が870件、大量にSNSでメッセージを送りつける行為での摘発は99件。元交際相手の画像などをインターネット上に流出させるリベンジポルノの相談は1347件にのぼった。
2/7 国連子どもの権利委員会、日本への勧告を公表。
国連子どもの権利委員会は、1月16、17日に日本の実施状況の審査を行い、総括所見を発表。総括所見では、緊急措置をとるべき分野として、差別の禁止(包括的な差別禁止法の制定、非婚の両親から生まれた子どもの地位に関する規定をはじめとする子どもを差別している全ての規定の廃止、アイヌ民族などの民族的マイノリティ、被差別部落出身の子ども、在日コリアンなど日本以外の出自の子ども、移住労働者の子ども、LGBTである子ども、婚外子、障害のある子どもへの差別禁止の措置)、子どもの意見の尊重、体罰、家庭環境を奪われた子ども、リプロダクティブ・ヘルスおよび精神保健、少年司法など多岐にわたって勧告している。
3/20 同性婚合法化26か国に拡大(LGBT国際レズビアン・ゲイ協会)。
同性婚を合法化した国は欧米など26か国に増加、一方で中東やアフリカを中心に70か国が同性愛行為を禁じている。日本については、東京都議会が2018年10月LGBTへの差別解消を目指す条例を成立させたことを評価。
2/12政府は、幼児教育・保育の無償化を実施するための子ども・子育て支援法改正案を閣議決定。
朝鮮学校幼稚部やインターナショナルスクールなどは、国の基準を満たさない場合は無償化の対象にならないとする。同日、低所得世帯の学生を対象に大学や短大などの高等教育機関の無償化を図る新たな法案も閣議決定した。
2/19 大阪府教育庁は、大阪府内の公立小中でスマホ持ち込み解禁発表。
都道府県単位で解禁するのは初めて、同日ガイドライン案を発表。
3/13 東京都が保護者による体罰や暴言の禁止を規定した「子ども虐待防止条例案」。
20日開会の都議会定例会に提出すると発表。
3/19 虐待防止法改正案閣議決定。政府は児童虐待防止法と児童福祉法の改正案を閣議決定。親権者らによる体罰禁止を明記した上、児相の子どもの一時保護を担当する部署と保護者の相談を受ける部署を分けることを盛り込んだ。
3/22 ネット上の差別表現、集団に向けた表現も削除の対象に、全国の法務局に通知(法務省人権擁護局)。
これまで個人を標的にしたネット上のヘイトに対して、運営会社に削除要請などを行ってきた法務省が、集団に向けた表現も含めるよう人権擁護局調査救済課長名で全国の法務局に通知をした。在日コリアンや被差別部落に対して差別する書き込みや動画への対処を含める。しかし、現行の日本の法体系では、個人が標的にされた時しか被害を訴えられない。
3/26 新学習指導要領にもとづく小学校教科書の検定結果発表(文部科学省)。
2020年度から始まる新学習指導要領にもとづき初めての小学校教科書の検定結果が発表された。2020年度から英語が小学校5、6年生で正式の科目になるが、単語数は5、6年で600語を下限とする。新学習指導要領は、竹島、北方領土、尖閣諸島が「我が国固有の領土である」という政府見解に触れるよう規定。文部科学省は、教科書会社に「領土」を「日本固有の領土」に変更など複数の意見を出した。これに対して、韓国、中国外務省は反発する声明などを発表した。
1/24 千葉県野田市で小学校4年生の少女が虐待を受け死亡。
その後、執拗に暴行をしていた父親とDVを受けていた母親も逮捕された。少女は小学校のアンケートで父親の暴力を訴えて、一時保護されたのに、その後父親の恫喝で教育委員会がアンケートのコピーを父親に渡しており、児童相談所も虐待リスクが高まったことを知りながら自宅に戻していた。
2/5 山口県第三者委員会(「県いじめ調査検証委員会」)は、教員らの行為もいじめと認定。
2016年に県立高校2年の男子生徒が自殺した問題で、最終報告書を県知事に提出した。検証委は、同級生らによるいじめに加え、一部教員の言動にも「いじめに類する行為」があったと認定。いじめ防止対策推進法は、教員によるいじめを規定していないが、教員らの行為が同級生らによるいじめを助長した可能性を指摘した。
2/14同性婚求め同性カップルが国を相手に一斉提訴。
同性の法律婚ができない現行制度は、「婚姻の自由」「法の下の平等」を定めた憲法に違反するとして9組のカップルが国を相手に精神的苦痛に対する慰謝料を求めて東京や大阪などで一斉に提訴した。
2/24 沖縄県民投票、辺野古移設に反対7割超え。
米軍普天間基地の名護市辺野古移設をめぐる県民投票が24日投開票された。辺野古埋め立て計画に「反対」が7割を超えた。投票率は52.48%。玉城知事は結果を尊重し首相と米軍大統領に通知。
2/27 同性愛を暴露され学生転落死、一橋大学の責任を認めず(東京地裁)。
2015年4月同級生の男性に恋愛感情を伝えたが、男性はその後、ラインで複数の同級生が参加するグループにそのことを暴露する内容を投稿。男子学生は心身に不調をきたし、大学のハラスメント相談室に相談したが8月に校舎から転落死した。学生の両親は大学に損害賠償を求めていた
3/2新出生児診断 開業医も可能に(日本産婦人科学会)。
理事会で、胎児にダウン症などがあるかを調べる「新出生児診断」について、研修を受けた産科医がいれば検査を実施できる案を了承した。従来は産科医と小児科医が常駐し、遺伝の専門外来を設けていることなどの条件だったが、それが緩和されることになる。日本ダウン症協会は相談できる環境整備を求める声明を出した。
3/22 沖縄県は、国を相手取り辺野古埋め立て承認撤回の効力回復を求める訴訟を福岡高裁那覇支部に提起。
玉城知事は、2月県民投票で反対が約7割にのぼり「対話による解決」を求めたにもかかわらず、工事中止の要求を政府が受け入れないため法的手段で対抗することになった。
3/22 入試差別、東京医大を元受験生女性33人が提訴。
33人は東京医大を受験して不合格になった。うち2人は同大の調査で実際には合格ラインを上回っていたことが判明した。訴状で原告側は、「性差別を受け、公正・公平な入試への信頼を裏切られた」と述べ、入試不正は不法行為に当たるとして慰謝料を請求した。
3/25 夫婦別姓 戸籍法「違法といえない」と賠償請求棄却(東京地裁)。
「夫婦同姓」をめぐり国相手の訴訟を起こしていた「サイボウズ」の青野慶久社長らの訴えが東京地裁で棄却された。青野氏らは、結婚時に夫婦別姓を選べない戸籍法は憲法違反だとして、国に損害賠償を求めていた。2015年に最高裁が合憲と判断しつつも、国会で議論するよう言及していたのに、放置されていたことに対して別の論点から裁判を提起していた。