情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2024年3月1日~2024年5月31日
3/5 国連人権専門家、エンターテインメント産業での子どもの性的虐待・搾取への対処を国連人権理事会で要請。
子どもの売買・性的搾取・性的虐待に関する国連特別報告者が、昨年後半に実施した意見募集の結果を踏まえて提出した報告書をもとに、種々の対策の必要性を訴えた。
3/8 英国の教育監査機関が、教育監査などの活動のあり方に関する意見募集を開始。
独立機関であるOfsted(教育・子どもサービス・技能水準監査院)によるもの(5月31日まで)。子どもからの意見募集も3月21日に開始された。
3/12 国連人権専門家、人権擁護者である子ども・若者が直面する課題への対応を国連人権理事会で勧告。
人権擁護者の状況に関する国連特別報告者が1月に提出した報告書を踏まえたもの。人権問題への子ども・若者の取り組みを阻害する10の要素を取り上げて対処を求めた。
3/14 欧州評議会人権コミッショナー、トランスジェンダーやノンバイナリーである人々の人権に関する報告書を発表。
法律上の性別変更承認をはじめとする13分野について詳細な検討を行ったもの。子どもについても、子ども自身のジェンダーアイデンティティを学校現場で承認すること、カリキュラムのあり方を見直すことなどの対応を求めた。
3/25 国連総会、毎年6月11日を「国際遊びデー」と宣言。
遊びやレクリエーションが子どもの健康とウェルビーイングにとって不可欠であるという認識を踏まえた決議。今年の6月11日が第1回となる。
4/4 国連人権理事会、インターセックスである人への差別・暴力等に関する決議を採択。
インターセックスである人々がすべての社会に存在することを認め、差別・暴力・有害慣行(子どもに対する必要のない/延期可能な医学的介入を含む)と闘うための努力などを強化するよう求めた。
4/5 国連人権理事会、子どもの権利と「包摂的な社会的保護」および「子どもの権利の主流化」に関する決議を採択。
すべての子どもが包摂的な社会的保護にアクセスできるようにするための取り組みのほか、「子どもの権利の主流化」に関する国連事務総長ガイダンスノート(2023年)に言及して、地域・国・国際社会の各レベルで子ども参加を推進することなどを各国に促した。
4/19 欧州評議会議員会議、オンラインの暴力からの子どもの保護に関する決議を採択。
子どもの最善の利益の原則にのっとり、子どもたちの機会を損なうことなく危害を減少させるための「統合的でバランスのとれたアプローチ」に基づいて、いっそうの取り組みを進めていくよう、加盟国その他の関係者に要請。
4/22 国連人権専門家、環境と人権に関する「ユーザーガイド」を発表。
清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する人権に関する国連特別報告者がアースデイにあわせて発表したもの。健康的な環境に対する権利が慣習国際法の一部と捉えられるようになりつつあるとして、各国が負う義務などについて詳しく述べている。
4/22 米・国務省、各国の人権状況に関する人権報告書の2023年版を発表。
日本については、性的同意年齢の引き上げ、旧ジャニーズ事務所における性加害問題、子どもの在留特別許可などについて新たな記述が加えられた。
4/30 ユニセフ、ビデオゲームと子どものウェルビーイングに関する報告書を発表。
ビデオゲームは、しかるべき配慮がなされていれば、子どもたちのウェルビーイングをおおいに促進し得るという調査結果をまとめた内容。
5/6 国連・子どもの権利委員会の第96会期が始まる(~5/24)。
今回の審査対象国はナミビア、グアテマラなど9か国。なお、第96会期終了後に開かれる予定だった会期前作業部会(非公開)は、国連の財政事情により中止となった。
5/7 EU(欧州連合)、女性に対する暴力とドメスティックバイオレンスに関する新たな指令を採択。
FGM(女性性器切除)や強制婚のほか、いわゆる「リベンジポルノ」(合成・加工画像を含む)、サイバーストーキング、サイバーハラスメント、ジェンダーを理由とする暴力・憎悪のサイバー扇動などの犯罪化を加盟国に要求。
5/15 OECD(経済協力開発機構)、子どものエンパワーメントと教育・ウェルビーイングに関する報告書を発表。
失敗から学ぶことも含む子どものエンパワーメントを援助・促進するために学校/教職員の果たす役割と、そのために学校/教職員を支援することの必要性を指摘し。学校における生徒参加の重要性も強調している。
5/23 国連人権高等弁務官事務所、国連で起草中の新サイバー犯罪条約草案についていくつかの修正を提言。
早ければ2024年中にも採択される可能性がある「犯罪目的での情報通信技術の利用への対処に関する包括的国際条約」草案に関するもの。子どもとの関連では、自撮り画像・動画について子ども自身を犯罪者としないことなどを促した。
5/23 国連・子どもの権利委員会の新たな委員が選出される。
ニューヨークで開催された子どもの権利条約締約国会議で、2025年2月末に任期終了となる9人の委員についての改選投票が行なわれ、新たな委員が決まった。2017年3月から2期8年にわたって委員を務めた大谷美紀子さんは来年2月末をもって退任する。
5/24 国連・子どもの権利委員会の第96会期が終了。
今回審査した9か国についての総括所見を採択したほか、個人通報制度に基づき、ジョージア、デンマーク、フランス、スイスについて条約違反を認定。
5/24 EU、人権・環境に関わる企業のデューディリジェンスに関する指令を採択。
自社およびバリューチェーンの活動で人権(子どもの権利を含む)や環境が損なわれないよう正当な注意を払うこと、人権や環境への悪影響に関する苦情処理手続を整備することなどを企業に求めるよう、EU加盟国に義務づけるもの。
5/28 国連・ビジネスと人権作業部会、訪日調査の最終報告書を公表。
旧ジャニーズ事務所における性加害問題、児童労働などさまざまな問題を取り上げて是正のための取り組みを求めるとともに、独立した国内人権機関の早期設置も勧告。
3/18 フィリピン議会に「子どものためのマグナカルタ」法案が上程される。
全154条から構成される詳細な法案で、多岐にわたる子どもの権利と、国をはじめとするさまざまな主体の役割および責任について定めたもの。成立の見込みは現段階では不明。
3/21 ニュージーランド子ども・若者委員会、レイシズムに関する子どもたちの声をまとめた報告書を発表。
先住民族・マオリをはじめとするさまざまな民族・背景の子どもたちの声を踏まえ、とくに教育の役割を強調した。
3/25 イングランド(英国)の子どもコミッショナー、総選挙に向けた大規模子どもアンケートの結果を発表。
「ザ・ビッグ・アンビション」(大きな野心)と題されたこのアンケートには約36万7,000人の子どもたちから回答があった。「家族」や「教育」など10のテーマを取り上げるとともに、子どもたちが望む主な解決策は33項目にまとめて提言している。
4/12 アイルランド政府、子ども・若者参加に関する新たな行動計画を発表。
2016年の「国家戦略」を引き継ぐもので、参加のための取り組みをいっそう強化するとともに、教育部門における生徒参加の拡大、障害のある子どもの参加に関するガイダンスの制作などの方針を打ち出した。
4/17 ニュージーランドのプライバシーコミッショナー、子どものプライバシーに関する報告書を発表。
子ども・保護者・専門家向けのガイダンス策定、規制の強化などの必要性を指摘。
4/30 ラオスが子どもに対する体罰の全面禁止を正式に発表。
子どもの権利利益保護法(2006年)の改正によるもの。これにより、子どもの体罰を全面禁止した国は66か国となった。ASEAN(東南アジア諸国連合)では初。同日、スリランカでも体罰全面禁止のための刑法・刑事訴訟法改正案が内閣により承認されている。
5/5 韓国国家人権委員会、ソウル市などで児童生徒人権条例が廃止されたことに遺憾の意を表明。
韓国で児童生徒人権条例を制定している6つの自治体のうち、条例の廃止が議会で可決されたのは忠清南道とソウル特別市。国家人権委員会のソン・ドゥファン委員長は「こどもの日」にあたって声明を発表し、「人権にやさしい学校」づくりの必要性を訴えた。
5/30 スコットランド(英国)の公共サービスオンブズマン、子どもからの苦情申立てに対応する際の原則を発表。
子どもの最善の利益に焦点を当てること、子どもの声を中心に据えることなど7つの原則を掲げるとともに、これらの原則の実施のあり方について詳しく述べたガイダンスもあわせて発表した。