情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2024年12月1日~2025年2月28日
12/4 民間機関が「テクノロジーによって容易にされる子どもの性的搾取・虐待(CSEA)への対処に関する指導原則」を発表。
NGOと大学による共同プロジェクト「子どもたちのためのデジタル未来」センターがとりまとめたもの。▼子どもたちの声には重みがある、▼子どもたちを非難しない、▼子どもの権利アプローチを取り入れるなど、6つの原則を提示している。
12/10 国連・子どもの権利委員会が世界人権デー(12月10日)の声明を発表。
子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表と連名で、現状に危機感を表明しつつ、子どもに対する暴力についての初の閣僚級国際会議(コロンビア・ボゴタ、11月)などの成果を振り返り、さらなる行動を呼びかけた。
12/11 ユニセフ、子どもの出生登録に関する報告書を発表。
出生登録されている子どもは77%に増加したものの、依然として5歳未満児1億5,000万人近くが出生を登録されておらず、登録はされているものの出生証明書を持たない子どもも5,000万人を超えるとして、さらなる対応を求めた。
12/24 国連総会、国連サイバー犯罪条約が国連総会を採択。
正式名称は「情報通信技術システムを利用して行なわれる特定の犯罪と闘い、かつ電子的形態の重大犯罪の証拠を共有するための国際協力を強化する国際連合サイバー犯罪条約」。2025年にベトナム・ハノイで署名式典が開催される。
1/13 国連・子どもの権利委員会の第98会期(~31日)が始まる。
審査対象国はスロバキア、エリトリア、ホンジュラス、セントクリストファーネービス、ペルー、ガンビア、エクアドルの7か国。日本から選出されている大谷美紀子委員は2月末で任期が終了するため、これが最後の会期となった。
1/20 国連・自由権規約委員会、不同意性交被害者に対する人権侵害についてエクアドルとニカラグアの規約違反を認定したと発表。
不同意性交の被害を受けた3人の少女が中絶サービスを受けられなかったことなどをめぐり、エクアドルとニカラグアが自由権規約(市民的および政治的権利に関する国際規約)の6条(生命に対する権利)と7条(拷問等の禁止)に違反したと認定したもの。
1/22 国連・子どもの権利委員会、2人の少女の死をめぐる重大な権利侵害についてパラグアイ政府の責任を認定。
条約の個人通報議定書13条(重大なまたは組織的な侵害の調査手続)に基づく調査を踏まえたもので、国家統合任務部隊による2人の少女の殺害について、十分な捜査がなされなかったことなどを理由に、条約6条(1)(生命に対する権利)と4条(締約国の実施義務)の違反があったと判断。権利侵害の重大性・組織性については前者のみ認めた。
1/24 ユニセフ、気候災害が学校教育に及ぼす影響についての分析結果を発表。
2024年には熱波や暴風雨をはじめとする異常気象により少なくとも85か国で2億4,200万人の子どもの学校教育が中断を余儀なくされたことを明らかにし、気候変動に対応した学校施設への投資、気候変動教育の推進などを各国に求めた。
2/3 ユニセフの研究機関、デジタル環境と子どもの最善の利益に関する報告書を発表。
ユニセフ・イノチェンティ研究所が発表したワーキングペーパー。国連・子どもの権利委員会の一般的意見のほか、関連する国際的・地域的・国内的法令や指針を踏まえ、デジタル環境における子どもの最善の利益原則のあり方を検討している。
2/20 国連・子どもの権利委員会、コンゴ民主共和国情勢について深い懸念を表明。
東部(北キブ州・南キブ州)における紛争で子どもの殺害や少女への性暴力が相次いでいることに触れて、即時停戦と重大な権利侵害の停止を求めた。
2/20 国連・自由権規約委員会、ロマの子どもの出生登録拒否をめぐってアルバニアの規約違反を認定したと発表。
他国で生まれた少数民族ロマの子ども3人の出生登録をアルバニア当局が認めなかったことについて、自由権規約16条(法律の前に人として認められる権利)・24条(子どもの保護措置および出生登録)・26条(法律の前における平等)の違反を認定。
2/24-26 「太平洋子どもウェルビーイングサミット」が開催される。
「全太平洋アプローチ」を通じ、域内の子どもたちの支援・保護・エンパワーメントに関する今後の取り組みや協力のあり方を模索するため、太平洋諸島フォーラム(PIF)とユニセフがフィジーの首都スバで開催。オーストラリアやニュージーランドを含む17か国の政府関係者や市民社会組織が参加。
2/27 ヨーロッパ諸国で子どものメンタルヘルスが悪化していることが明らかに。
欧州の子ども関係団体で構成される地域ネットワーク「ユーロチャイルド」の報告書によれば、ヨーロッパではメンタルヘルスの問題を経験する子どもが増加しており、とくに思春期女子の状況が悪いことなどが明らかになった。報告書は、関連サービスの設計・評価に子どもたちの関与を得ること、学校を基盤とする支援を増進させることなどを提言。
12/2 アイルランド政府、乳幼児の意見表明・参加に関するツールキットを発表。
『生まれてから5歳までの子どもを意思決定への参加に包摂するためのツールキット』と題するもので、意思決定への乳幼児の参加のための主要な指針と実践のヒントを専門家や実践家向けに提示。実践例(6分野・17件)も充実している。
12/9 フィリピンで「基礎教育メンタルヘルスおよびウェルビーイング促進法」が成立。
基礎教育機関で学習者(児童生徒)・教職員のメンタルヘルスとウェルビーイングを促進しようとするもの。すべての基礎教育機関での「ケアセンター」の設置などを規定。
12/17 英国政府、「子どものウェルビーイングと学校法案」を議会に提出。
地域の学校運営に関する地方当局の機能を強化すると同時に、ホームエデュケーションの監督強化を含め、すべての子どもが安全な環境で適切な教育を受けることを確認・確保するための措置も盛りこんだ。
1/15 パレスチナ・ガザ地区をめぐる第1次停戦合意が成立。
軍事活動の停止、人質の解放、人道支援活動の増加などについて定めたもの。恒久停戦につながるかどうかは依然不透明。
1/17 スコットランド(英国)の高等法院、検察官による少年の起訴などにも国連・子どもの権利条約の要件が適用されると判示。
2024年7月16日に施行された国連・子どもの権利条約(編入)(スコットランド)法の適用に関する初の司法判断。検察官は、子どもの起訴にあたり、審理の非公開原則をはじめとする条約上の要件を遵守しなければならないことを確認した。
1/29 ウェールズ(英国)の子どもコミッショナー、貧困への対処に対する子どもの権利アプローチの適用に関するガイドを発表。
コミッショナーが2017年に打ち出した枠組み「ザ・ライト・ウェイ」の5原則にしたがい、▼子どもの貧困に対する子どもの権利アプローチを公的機関全体で根づかせる明確なビジョンの策定・推進、▼差別の禁止、▼子どものエンパワーメントおよび参加、▼子どもたちに対する説明責任の履行などを求めた。
2/2 イギリス、AIで生成された子どもの性的虐待表現物(CSAM)を取り締まるための法案を発表。
CSAM生成を目的とするAIツールの所持、子どもの性的虐待を目的とするAIの利用方法を教えるマニュアルの所持などを犯罪とするもの。
2/7 英国教育省、子どものメンタルヘルス向上策に関する調査結果を発表。
大学と慈善団体に委嘱して実施した調査で、ストレスや悲しさは生活の当たり前の一部だということを教えられた児童生徒のほうが精神的に健康である可能性が高いことが判明。
2/24 ロシアによるウクライナ侵略から3年が経過。
ウクライナの子どもたちを支援してきた団体からは、▼これまでに数千人の子どもが親を失っており、心理的支援が命綱であること、▼メンタルヘルス関連のニーズが変化しつつあり、ストレスが慢性化して長期的介入が必要になっていることが報告されている。
2/24 英国の民間委員会、同国の遊びの現状に関する中間報告を発表。
2024年6月に設立された「国を育てる・遊び委員会」によるもの。とくに学校生活が子どもたちの遊びに及ぼす影響について詳しく取り上げ、学校における遊びの回復を呼びかけた。最終報告書は6月発表予定。