情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2025年3月1日~5月31日

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  • 2025.06.20 情報BOX【国際編】 #はらっぱ #PICKUP

    情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2025年3月1日~5月31日

国連・地域機関・国際NGOなど

3/13 国連人権理事会、「乳幼児期の発達」に関する全日討議を開催。

 毎年この時期に子どもの権利をテーマとして開催しているもの。今回は「乳幼児期の発達に対する子どもの権利基盤アプローチを前進させるための優先課題」(午前)と「緊急事態における乳幼児期の発達:子どもの権利を第一に」(午後)について議論された。

3/18 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、子どもの権利条約の第4選択議定書作成に向けた意見募集を開始。

 9月上旬から政府間作業部会での議論が始まる、乳幼児期教育および無償の就学前教育・中等教育に関する選択議定書に関するもの。その後、子どもからの意見募集も開始。

3/20 EU基本権庁、「統合された子ども保護制度」に関する報告書を発表。

 EU(欧州連合)に加盟する27か国を対象とする調査の結果をまとめたもので、「子ども保護に対する権利基盤アプローチ」の徹底などを各国に促した。

3/21 OHCHR、ウクライナの子どもの状況に関する報告書を発表。

 ロシアによる侵略開始(2022年2月24日)から2024年末までの期間を対象としたもので、子どもの死者・負傷者がそれぞれ669人・1,833人にのぼること、他に多数の子どもが国内避難民・難民となっていることなどを明らかにした。

3/27 ユネスコ、学校給食の質の向上を訴える報告書を発表。

 世界の小学生の半数近くが給食を享受できるようになったものの、給食の質についての法律・基準・指針を定めているのは調査対象国の約半数(93か国)に留まることなどを明らかにし、新鮮な地元産品の活用、食教育の導入などを奨励した。

4/1 国連・子どもの権利委員会、一般的意見27号の草案に関する意見募集を開始。

 テーマは「公正な手続および効果的救済にアクセスする子どもの権利」。草案のチャイルドフレンドリー版も、NGOによって作成されている。

4/4 欧州評議会、「自己の健康に関する決定への子ども参加の促進」ガイドのチャイルドフレンドリー版を発表。

 子どもたち自身が作成した『あなたの健康、あなたの意見!』と題する資料で、2024年4月にとりまとめられたガイドの内容を子どもたち向けに要約したもの。

4/7  OECD(経済協力開発機構)、子ども・若者のメンタルヘルス向上のための有望な取り組みに関するポリシーペーパーを発表。

 母親のメンタルヘルス支援、学校を基盤とするプログラム、同世代型プログラム、親・教員を対象とする研修プログラムなどの効果を明らかにし、各国に取り組みを奨励。

4/10 ルクセンブルク・ガイドラインの改訂第2版が発表される。

 正式名称は「性的搾取・性的虐待からの子どもの保護に関する用語法ガイドライン」。国際NGOと国連機関等が共同で作成しているもので、改訂版では「テクノロジーによって容易にされる子どもの性的搾取・性的虐待」をめぐる関連用語も詳しく取り上げた。

5/7 子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表事務所、子どもに対する暴力対策への投資を促進するツールキットを発表。

 子どもに対するあらゆる形態の暴力を撤廃するためにいっそうの投資を行なうことの必要性を強調し、そのような投資の正当性を説明する政策文書の作成に向けた指針を詳しく示したもの。

5/14 ユニセフ、豊かな国々の子どもの幸福度を比較した報告書を発表。

 ユニセフがOECD加盟国を中心に定期的に発表している「レポートカード」の第19弾。日本の総合順位は36か国中14位だが、メンタルヘルス分野では32位に留まった。

5/15 OECD、デジタル時代の子どものウェルビーイングに関する新たな報告書を発表。

 SNSの全面禁止のような近視眼的対応ではなく、子どもの保護とエンパワーメントの双方を確保しながらオンラインとオフラインの両方で子どもたちのウェルビーイングを支えるための、ホリスティックで権利を基盤とする多部門間アプローチを提唱した。

5/15  OHCHR東南アジア地域事務所、移住者の家族生活に関する報告書を発表。

 低賃金労働者が家族とともに移住できるようにする正規の経路が存在しないこと、就労期間中の妊娠・結婚を禁止する差別的慣行が広がっていることなどを指摘し、改善を促した。

5/21 国連・子どもの権利委員会、イスラエルによるガザの援助封鎖に関する非難声明を発表。

 人道援助が阻害されることにより子どもが大規模な飢餓に直面しており、国際人権法・人道法違反を速やかにやめるようイスラエルに求めた。

5/28 欧州評議会、子どもに関わる手続での子どもの権利と最善の利益の保護に関する2本の勧告を採択。

 それぞれ代替的養護を含むケア手続と親との別離をともなう手続に関するもの。子どもの最善の利益を評価・認定するための手続のあり方などについて規定。

5/30 国連・子どもの権利委員会の第99会期が終了。

 5月12日からジュネーブで開かれていたもので、ノルウェー、インドネシアなど6か国の報告書を審査した。

各国動向

3/5 タイの最高行政裁判所、生徒の髪型に関する1975年の教育省令の無効を宣言。

 男子は短髪、女子は耳までのボブヘアと定める規則は憲法が保護する個人の自由を侵害し、現代社会にはそぐわないと判断したもの。髪型に関する校則では生徒の自由および尊厳が考慮されるべきであるとも指摘。

3/12 スコットランド(英国)の団体、「子どもの権利のスキルと知識枠組み」を発表。

 政府が2024年1月に発表した「子どもの人権アプローチ」を浸透させるため、政府の委嘱を受けた民間団体が作成した公的機関職員向け研修資料。人間の尊厳、思いやり、共感、信頼、愛という5つの価値観が踏まえられている。

3/25 タイ、法改正により子どもの体罰等を全面禁止。

 民商法典を改正して教育・しつけにおける「心身に対する侵害もしくは暴力の行為または不適切な行動」を禁止し、世界で68番目の体罰全面禁止国となった。

3/31 スコットランド子ども・若者コミッショナー、教育の中心に子どもの権利を位置づけるよう求める報告書を発表。

 子どもたちの声を踏まえ、文化、カリキュラム、個別化と支援、評価と資格認定、目的の5分野を中心に、政府がとるべき措置を勧告するもの。

4/1 アイルランド子どもオンブズマン事務所、国家的なチャイルド・デス・レビュー(CDR)制度の確立を勧告。

 とくに、自分が経験したいじめを理由として子どもが自死した事案を含め、学校における子どもの死亡事案も対象にするよう強く訴えた。

4/3 アイルランドの団体、社会的養護を受けている子どもに学校・教員が配慮すべきことについてのツールキット『テイク・ケア』を発表。

 里親委託などの社会的養護を受けている/受けてきた子ども・若者が学校でどのような経験をしてきたかについて振り返り、改善のための対応を提言するもの。

4/10 イングランド(英国)の子どもコミッショナー、学校における携帯電話の取扱いに関する調査結果を発表。

 法律上の権限に基づく学校悉皆調査の報告書第1弾。ほとんどの学校で開校時間中の生徒による携帯電話の使用を制限する方針が定められていることを支持しつつ、オンラインで子どもを守るためには「社会一丸アプローチ」が必要だと指摘。

4/23 英国の社会的養護(元)当事者、子ども大臣への要望を発表。

 昨年7月の政権交代にともなって新たに就任した子ども・家族大臣への、325人の子ども・若者の要望をまとめたもの。優先的課題として、とくにメンタルヘルス支援、当事者の意見聴取、よりよい関係づくりのための支援などが挙げられた。

4/28 イングランドの子どもコミッショナー、生成AIによるヌード画像生成ツールの禁止を要求。

 生成AIツールを提供している企業の法的責任を強化すること、子どもが自分の「ディープフェイク」画像の削除を要求しやすくすることなども求めた。

5/19 英国の大学、「子どもインフルエンサー」保護のためのツールキットを発表。

 エセックス大学がアイルランド・英国向けに開発したもので、ソーシャルメディアに登場する/させられる子どもが直面するリスク(金銭的リスク・教育上のリスクなど)を6つに分類し、保護者向けの考慮事項やとるべき対応を提案している。

5/27 フランスの子ども担当高等弁務官、「子どもお断り」の商業施設を批判。

 観光・交通業界などの関係者を招いた会合で、このような対応は親にプレッシャーをかけて社会の分断を促すものだとして、再考を促した。

(平野裕二/ARCAction for the Rights of Children=代表)

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