情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2024年6月1日~2024年8月31日
6/5 ユネスコ、行動志向の環境教育の推進を提言。
世界環境デーにあたって発表された『教育と気候変動――人々と地球のために行動することを学ぶ』で、体験・行動重視の環境教育・持続可能な開発のための教育の重要性を強調。カリキュラム指針や学校基準などのツールキットの活用を呼びかけた。
6/11 国際遊びの日にあたり、ユニセフが子どもへの暴力などに関するデータを発表。
3月の国連総会決議で宣言された初の「国際遊びの日」にあたってユニセフが発表したデータにより、世界の5歳未満児の6割が家庭で暴力を伴うしつけを経験しており、また子育てに遊びが十分に取り入れられていないことなどが明らかに。
6/11 欧州評議会の専門委員会、子どもへの性犯罪に関する公訴時効についての見解を発表。
欧州評議会「性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約」の監督機関であるランサローテ委員会によるもの。時効の廃止は義務ではないものの、被害を受けた子どもの成人後に訴追を開始することを可能にするのに十分な期間を確保するよう求めた。
6/13 国連事務総長、武力紛争における子どもの人権侵害当事者リストにイスラエル軍とパレスチナ武装勢力を追加。
事務総長が国連総会と安保理に毎年提出している「子どもと武力紛争」についての報告書に添付されているもの。イスラエル軍・治安部隊と、パレスチナ・イスラム聖戦およびハマスの関連勢力が新たに加えられた。
6/16 「アフリカ子どもの日」にあたり、国連・子どもの権利委員会とアフリカ子どもの権利・福祉委員会が共同声明を発表。
国連・子どもの権利委員会とAU(アフリカ連合)のアフリカ子どもの権利・福祉委員会による初の共同声明。大陸各地で発生している武力紛争によってアフリカの子どもたちの権利が著しく侵害され続けていることについて憂慮の念を表明し、対応を促した。
6/17 ユネスコとユニセフが乳幼児期ケア・教育(ECCE)への権利に関する共同報告書を発表。
将来の学びの基盤となるECCEを推進すること、ポジティブな家庭環境の促進のために親・養育者を支援すること、国際人権法で保障されている教育に対する権利にECCEも含めることなど、9つの勧告をおこなった。
6/25 国連・人種差別撤廃委員会が日本の永住許可取消しをめぐり緊急の対応を要請。
6月14日に可決成立した改正入管難民法で外国人の永住許可の取消し事由が拡大されたことをめぐり、国連・人種差別撤廃委員会が日本政府に書簡を送付。委員会が設けている「緊急措置」手続の一環で、改正法の見直し・廃止を含む緊急の対応を要請した。
7/26 ユニセフ、国連安保理で武力紛争下の子どもの権利侵害の危機的増加を報告。
武力紛争下で生じた子どもに対する重大な権利侵害は、パレスチナ・ガザ地区やスーダンにおける状況の悪化を背景として2023年には3万2,990件に達し、過去最悪の年であった2022年を21%上回った。
7/10 国連人権理事会、子どもの権利条約の新たな選択議定書について議論する作業部会の設置を決定。
▽教育に対する権利には乳幼児期ケア・教育も含まれることの明記、▽すべての子どもが少なくとも1年間の就学前教育を無償で受けられるようにすることの義務化、▽無償の中等教育の義務化について規定することを検討する。設置は2025年後半になる予定。
8/9 国連サイバー犯罪条約草案について合意が成立。
子どもの性的虐待/子どもの性的搾取表現物(CSAEM)関連犯罪についても取り上げており、今後国連総会で正式に採択される見込み。▽適用範囲の広さ、▽人権保障措置の欠如、▽子どもの権利に及ぼすリスクなどの観点から懸念も表明されている。
8/26 ジュネーブで国連・子どもの権利委員会の第97会期が始まる(~9/13)。
今回の審査対象国はバーレーン、トルクメニスタン、メキシコ、アルゼンチン、イスラエル、アルメニアの6か国。
8/30 国連・子どもの権利委員会、「強制失踪の被害者のための国際デー」にあたり声明を発表。
特に強制失踪の対象とされた子どものアイデンティティおよび家族的つながりの回復を確保するため、これらの子どもの権利擁護のための行動をとるよう各国に求めた。
6/4 韓国国家人権委員会、入管施設への子どもの収容は原則として禁止しなければならないという見解を発表。
収容施設の環境が子どもに及ぼす影響の重大さに鑑み、「子どもの保護(収容)措置を原則的に禁止する」旨の規定を出入国管理法に新設すること、非正規滞在外国人の収容を検討するときから子どもの最善の利益を考慮することなどを法務部長官に求めた。
6/11 英国で子どもの遊びに関する民間調査委員会が発足。
初の「国際遊びの日」にあたって社会起業家などが設立した「国を育てる・遊び委員会」(Raising the Nation Play Commission)。遊びに関する調査や協議を幅広くおこない、国家的な遊び政策の確立を目指す。
6/20 タジキスタンが子どもの体罰を全面禁止。
中央アジアのタジキスタンで可決・施行された子どもの教育・養育責任法により、親などによる体罰などが禁止された。これにより、世界の体罰全面禁止国は67か国に。
7/6 イングランド(英国)の子どもコミッショナー、総選挙による政権交代を受けて子どものためのキャンペーンを開始。
「100日間に100の声」と題し、14年ぶりに政権の座に就いた労働党政権が子どものために取り組むべき課題を、子どもたち自身の声を通じて順番に提示していくもの。
7/16 スコットランド(英国)の国連・子どもの権利条約編入法が施行される。
昨年12月に可決され、今年1月に国王の裁可を得て成立していたもの。大臣をはじめとする公的機関は、条約の規定に適合する形で行動することを義務づけられ、「子どもの権利・ウェルビーイング影響評価」をおこなうことも求められる。
7/19 韓国で「内密出産」を認める新法が施行される。
正式名称は「危機的妊娠および保護出産支援と子どもの保護に関する特別法」。出産は仮名でおこなえるが、母親の身元に関する情報は子どもの権利保障院に保存され、本人の同意があれば将来的に子どもに開示される。
7/26 ウェールズ(英国)の子どもコミッショナー、オンラインの安全に関する子どもアンケート結果を発表。
回答した子ども約1,300人の76%は特に不安を感じていなかったものの、オンライン事業者に問題を報告した際、真剣に対応してもらえたと感じているのは3割強に留まるなどの問題も明らかに。
8/8 アイルランド子どもオンブズマン事務所、設立20周年記念の調査結果を発表。
1,000人以上の中高生が参加した調査の結果、悩み事のトップ3は生活費、メンタルヘルスサービス、将来の住宅ニーズであることが判明。約半数がいじめを受けていること、自分たちの気持ちをおとなに聴いてもらえないと感じていることなどもわかった。
8/20 オーストラリアの連邦子どもコミッショナー、子ども司法改革を求める報告書を発表。
『もっと早く支援を!』(Help way earlier!)と題する報告書で、子どもの犯罪に厳罰主義で臨むのは逆効果であるとして、子どもの安全とウェルビーイングの向上にもっと注力することを促した。
8/29 韓国憲法裁判所、政府の気候対策の一部を違憲と認定。
韓国の子ども・若者などから提起されていた憲法訴願4件を踏まえた判断。政府が関連法に2031年以降の温室効果ガス削減目標を明記していないことなどについて違憲(憲法不合致)とし、2026年2月末までに是正することを命じた。