情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2024年9月1日~2024年11月30日

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  • 2024.12.20 情報BOX【国際編】 #はらっぱ #PICKUP

    情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2024年9月1日~2024年11月30日

国連・地域機関・国際NGOなど

9/13 国連・子どもの権利委員会の第97会期(8月26日~)が終了。

 今回した6か国(バーレーン、トルクメニスタン、メキシコ、アルゼンチン、イスラエル、アルメニア)に関する総括所見を採択したほか、個人通報制度に基づいてフィンランドの条約違反を認定したこと(先住民族の子どもの権利をめぐる事案)を発表。

9/20 ENOC(子どもオンブズパーソン欧州ネットワーク)、代替的養護下にある子どもの権利の保護・促進に関する「立場声明」を採択。

 代替的養護下にある子どもの意見表明権や意思決定への参加権を確認するとともに、子どもの最善の利益にかなう場合の家庭養育(復帰)の推進、良質な代替的養護の確保など、7項目について詳細な勧告をおこなった。

9/22 国連未来サミットで「未来のための協定」が採択される。

 ニューヨークの国連本部で9月22~23日に開催され、130か国以上の政府首脳らが参加した国連未来サミットの成果文書。5つのテーマのひとつが「若者と将来世代」で、付属文書「グローバルデジタルコンパクト」「将来世代に関する宣言」も同時に採択された。

10/5 「世界教師デー」にあたり、ユネスコらが教師の声の重要性を強調。

「世界教師デー」は、ユネスコ・ILO・ユニセフ・EI(教育インターナショナル)の4機関が共同で取り組むもの。今年のテーマは、「教師の声を大切に:教育のための新しい社会契約に向けて」で、ユネスコによる背景資料も作成された。

10/9 国連人権理事会、「人権教育のための世界プログラム」第5段階の行動計画を採択。

 第5段階(2025~29年)では第4段階に引き続き「若者」に焦点を当てるが、子どもも含む内容に拡大された。人権とデジタルテクノロジー、環境・気候変動、ジェンダー平等の3分野をとくに強調しながら取り組みを進めていくとされる。

10/9 国連人権専門家、子どもの人身取引と武力紛争に関する報告書を発表。

 人身取引に関する国連特別報告者と、子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表による共同研究の結果をまとめたもの。武力紛争下で子どもの人身取引が蔓延していることを指摘し、国際社会に対応を促している。

10/23 欧州評議会、「若者と気候変動」に関する加盟国への勧告を採択。

 表現の自由などの諸権利の十分な保障のほか、若者参加の強化、グリーンな(環境にやさしい)仕事・教育・スキル開発への投資、ユースワーカーへの支援、「気候不安」を含む心身の健康問題への対処、環境問題に関する司法審査の重要性などを強調。

10/29 国連・女性差別撤廃委員会が日本への勧告を発表。

 10月17日におこなわれた審査を踏まえたもの。夫婦同姓の強制、福島の女性・女児の窮状、ジェンダーステレオタイプ、ジェンダーに基づく暴力、教育、リプロダクティブヘルス、女性の貧困、婚姻・家族関係など多岐にわたる問題について取り上げた。

10/29 チャイルドヘルプライン・インターナショナルが子どものメンタルヘルスに関する報告書を発表。

 欧州諸国のヘルプラインに寄せられた関連の相談(2019~22年分)を分析したもので、希死念慮・自殺未遂、自傷行為・摂食障害などの相談が増えていることなどがわかった。

11/7 子どもに対する暴力の根絶に関する第1回グローバル閣僚級世界会議が開催される。

 コロンビアの首都ボゴタで開催されたもので、ハイレベル政府代表団、子ども・若者、サバイバー、市民社会関係者など1,000人以上が参加。100か国以上が今後の取り組みに関する「誓約」を発表し、8か国が体罰全面禁止法の制定を追求すると表明。

11/7 ユネスコ、「ネットいじめを含む学校での暴力といじめに反対する国際デー」にあたり報告書を発表。

『安全に学び、豊かに成長する:教育における/教育を通じた暴力の根絶』と題するもので、この問題に関する包括的な法的枠組みを設けているのは32か国にすぎないことなどが判明。

10/10 ユニセフ、子どもへの性的暴行に関する初の世界的推計を発表。

 8人に1人(約3.7億人)の女性・女児が18歳未満で被害を受けていることが判明。男性・男子の被害者も2.4億~3.1億人にのぼると推定され、対策の強化が求められる。

11/14 国連・子どもの権利委員会、イスラエルによるUNRWA活動禁止法を非難。

 パレスチナ被占領地域およびイスラエル国内でのUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の活動を禁止する法案が10月末に可決されたことを受け、その内容が実行に移されれば国際法上の義務の「重大な違反」になると警告した。

11/18 欧州評議会の委員会、ICTs(情報通信技術)によって容易にされる子どもの性的搾取・虐待からの保護に関する宣言を採択。

「性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約」の実施状況を監督するランサローテ委員会が採択したもので、ディープフェイクによる子どもの性的虐待表現物(児童ポルノ)への取り組みの強化などを各国に求めた。

11/20 ジュネーブ市(スイス)や国際NGOが2024年版「ジュネーブ子どもの権利宣言」を発表。

「世界子どもの日」にあたり、国際連盟・ジュネーブ子どもの権利宣言の採択100周年を記念して発表されたもの。国連・子どもの権利条約等に掲げられた権利を保障していくことへのコミットメントを再確認するとともに、今後優先的に取り組んでいくべき課題を10項目掲げて、賛同者の募集を開始。

11/20 ユニセフが『世界子供白書2024』を発表。

「変わりつつある世界における、子どもであることの未来」(日本ユニセフ協会がつけた日本語タイトルは「2050年の子どもたち」)と題し、人口構成の変化、気候・環境危機、飛躍的な技術革新という「3つのメガトレンド」を取り上げて課題と展望を提示。

11/24 COP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)が閉幕。

 アゼルバイジャンの首都バクーで11日から開かれていたもの。開発途上国に向けた資金拠出の目標を年間3,000億米ドルに引き上げることなどで合意。「若者主導の気候フォーラム」でも子ども専用の参加枠が設けられ、4人の子どもが司会やスピーカーを務めた。

各国動向

9/13 イングランド(英国)の子どもコミッショナーが「学校調査」を開始。

 児童生徒の心理的ケア、追加的ニーズを有する子どものための教室内調整措置、携帯電話に関する方針などについて調べるもの。結果は2025年に発表される予定。

10/21 イングランド(英国)の子どもコミッショナーが体罰の全面的禁止を呼びかけ。

 10歳の女の子が父親の暴力により死亡した事件を背景としたもの。容疑者が「こらしめるために罰を与えた」などと主張していることもあり、スコットランドやウェールズにならって体罰全面禁止のための法改正をおこなうよう求めた。教育省も検討の意向を表明。

11/5 アイルランドで、施設養護関連の記録の破棄などを禁止する法律が施行される。

 カトリック系の施設を含む養護施設、寄宿学校、養子縁組あっせん機関などに対し、関連の記録の破棄などを犯罪とするもの。虐待サバイバー自身には適用されない。

11/12 ニュージーランド首相、代替的養護下で虐待などの被害を受けた人々への公式な謝罪を議会で表明。

 1950~2019年にかけて養護下にあった65万人のうち3分の1近く(その多くは先住民族)が身体的・性的・心理的その他の虐待を受けていたという調査結果を受けたもの。

11/29 オーストラリア議会、16歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決。

 2021年オンライン安全法を改正し、16歳未満の子どもによるアクセスを防止するための合理的措置をとるようSNSプラットフォームに義務づけるもの。国家人権委員会は、子どものさまざまな権利に及ぼす影響が大きいとして拙速な可決に反対していた。

(平野裕二/ARCAction for the Rights of Children=代表)

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