情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2021年9月1日~11月31日
9/7 G7内務省会合(ロンドン)、女性・女児に対する暴力などの防止に対するコミットメントを再確認。
ネットを通じた暴力、とくに女性・女児に対する暴力および子どもの性的搾取・虐待の防止のための取り組みを強化するための原則や行動計画を採択した。
9/24 国連・子どもの権利委員会の第88会期(9月6日~)が終了。
会期終了にあたり、委員会はスイスなど4か国の報告書に関する総括所見を採択。今会期には、「子どもの権利と代替的養護」に関する一般的討議も開催された。
10/5 ユニセフ(国連児童基金)が『世界子供白書2021』を発表。
今年のテーマは「子どもたちのメンタルヘルスの促進・保護・ケア」。
10/7 ユニセフなどが安全・清潔・健康的・持続可能な環境に対する子どもの権利についてのASEAN(東南アジア諸国連合)地域文書を発表。
ユニセフ・UNEP(国連環境計画)・国連人権高等弁務官事務所の各地域事務所がとりまとめたもので、37の原則と関連の政策指針を掲げたもの。
10/8 国連人権理事会、安全・清潔・健康的・持続可能な環境に対する権利が「人権」であることを宣言。
ただし日本は、「環境権という概念が国際人権法上、確立した権利として認められていない」などとして、中国、インド、ロシアとともに棄権。
10/11 国連・子どもの権利委員会、気候変動問題に関する子どもたちからの申立てに関する決定を公開。
委員会は、しかるべき手続がとられていないことから申立てを受理しなかったものの、国は気候変動の有害な影響について国境を越えて責任を負う可能性があることは認めた。
10/11 国連の2つの人権条約機関が国際ガールズデーにあたって共同声明を発表。
女性差別撤廃委員会と子どもの権利委員会によるもの。2つの条約で保障されているが依然として十分に保障されておらず、新型コロナ禍の影響によって状況がさらに悪化していることを指摘したうえで、とくに教育保障の重要性を強調。
10/19 国連事務総長室、子どもの権利に関する取り組みの強化への意欲を表明。
国連システム全体で「子どもの権利の主流化」を図っていくよう求めた国際NGOからの書簡に対する返信で明らかにされたもの。今後、他の国連機関と協力しながら「子どもの権利の主流化に関するガイダンスノート」を作成する予定。
10/20 欧州評議会の専門家グループ、女性に対するオンラインの暴力に関する一般的勧告を採択。
イスタンブール条約(女性に対する暴力およびドメスティックバイオレンスの防止およびこれとの闘いに関する条約)の実施状況を監督している専門家グループがとりまとめた、「女性に対する暴力のデジタルな側面についての一般的勧告1号」。
11/2 ユニセフ、多くの国の気候変動対応計画で子どもへの配慮が不十分と指摘。
COP26(11月1~12日、英国・グラスゴー)にあわせて発表された報告書によれば、気候変動対応計画で子どもに配慮しているとみなされる計画は約3分の1にすぎず、計画の策定に子どもが参加したと回答した国はわずか12%だった。
11/10 グレタさんら、国連事務総長に対して気候変動へのいっそうの取り組みを要請。
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんを含む14人の若者が、レベル3(L3)の「気候緊急事態」を宣言して国連全体で取り組みを強化するよう求めたもの。
11/18 ユニセフ、世界の子ども・若者の意識調査結果を発表。
多くの若者(15~24歳)が高い地球市民意識を持っていること、「政治家が子どもの声に耳を傾けることは非常に重要である」と考えているのは若者・年長世代(40歳以上)ともに過半数を超えていること(世界平均)などが明らかに。
11/19 国連・子どもの権利委員会、世界子どもの日(11月20日)に向けてメッセージを発表。
子どもたちに向けて委員会の活動を説明するとともに、委員会に積極的に意見を寄せてくれるよう要望するビデオメッセージのほか、気候変動問題と紛争下の性暴力に関する2つの共同声明を発表した。
11/30 ユニセフ・WHO(世界保健機関)などが虐待防止のためのユニバーサルな子育て支援を各国に呼びかけ。
とくに5歳未満児の親・養育者に対して最低5~7回の対面型セッションを実施することなど、最低限の子育て支援介入パッケージをすべての親に提供するよう提言。
9/21 イングランド(英国)の子どもコミッショナー、55万人以上の子どもが回答した大規模調査の結果を発表。
3月に就任した新コミッショナーが4~5月にかけて実施した「ザ・ビッグ・アスク」と呼ばれる調査で、イングランド全域の子ども(4~17歳)55万7,077人が回答。コミッショナーは今後、これらの声も踏まえて子ども施策のあり方についての提言をまとめる。
9/23 アイルランド子どもオンブズマン、デジタルメディアを通じた子ども参加の推進に関する報告書『デジタルボイス』を発表。
子どもの意見表明権・参加権を前進させるためにインターネットなどのデジタルメディアを活用する際の可能性と留意点などについて掘り下げたもの。
9/30 韓国国家人権委員会、少年法の「虞犯少年」規定の削除などを勧告。
少年司法制度は、少年の権利を保障しながら犯罪などからの回復および社会復帰を支援するなどの目的に合わせて運営されなければならないとして、子どもの福祉の観点から新たな解決策を構築するよう法務部(法務省)長官に対して求めたもの。
10/6 英国最高裁、スコットランドの“子どもの権利条約実施法”に一部無効判決。
英国政府の申立てを受けて、スコットランド議会が3月16日に可決した「国連・子どもの権利条約編入法案」の一部条項についてスコットランド議会の権限を逸脱しており無効と判断したもの。スコットランド側は法案の修正を余儀なくされ、施行は先送りされる。
10/23 中国で「家庭教育促進法」が成立。
宿題などによる子どもの学習負担と、塾通いなどによる家庭の教育コストの両方を軽減することを目指す「双減」政策の一環という側面と同時に、家庭教育への介入という側面も強く打ち出された内容。なお、子どもに対する「家庭暴力」も禁止されている。
11/19 韓国政府がポジティブ・ペアレンティングの推進を宣言。
韓国の文大統領は、「児童虐待予防の日」のメッセージで「肯定養育129原則」を発表。肯定養育(ポジティブ・ペアレンティング)を進めていくための1つの前提、2つの原理、9つの原則を政府として推進していくことを宣言した。
11/19 英国の子ども・若者担当大臣(教育省)が「世界子どもの日」にあたって子どもたちに宛てた書簡を発表。
世界子どもの日(11月20日)の意義を再確認するとともに、国連・子どもの権利委員会に提出する報告書の作成状況などについて説明したもの。教育省は、11月20日から、18歳未満の子どもを対象とする子どもの権利条約についての意識調査も開始。
11/19 スコットランド政府(英国)、子どもの権利に関する3年間の取り組みに関する報告書を発表。
「2014年子ども・若者(スコットランド)法」に基づくもの。同時に今後3年間の行動計画も発表し、「子どもの権利革命をもたらすような、スコットランド社会における根本的な文化転換を生じさせること」などの目標を明らかにした。
11/23 韓国国家人権委員会、ソウル市の中学校・高校に行き過ぎた校則の見直しを勧告。
.生徒の頭髪・服装を過度に制限することは生徒の個性を表現する権利や自己決定権を侵害するものだとして、市内31校に見直しを勧告。人権委はこのほか、生徒の表現の自由(11月18日)や校内における携帯電話の使用禁止(11月3日)についても勧告している。
11/25 ウェールズ政府(英国)、子どもの権利アプローチを実践するための政府関係者向けマニュアルを作成。
政策立案における子どもの権利アプローチの重要性を強調するとともに、政策立案・立法提案の際に「子どもの権利影響評価」を実施するプロセスについて詳しく解説。
11/30 カナダの子ども・若者13人が選挙権年齢の引き下げを求めて訴訟を提起。
連邦選挙における選挙権年齢が18歳と定められているのは「自由および権利に関するカナダ憲章」の関連規定(法の下の平等を含む)に違反するとして、次期連邦選挙までに自分たちが投票できるようにすることなどを求めた。