情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2021年12月1日~2月28日

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  • 2022.06.21 情報BOX【国際編】 #はらっぱ #PICKUP

    情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 2022年3月1日~5月31日

国連・地域機関・国際NGOなど

3/4 国連・子どもの権利委員会、ロシアによるウクライナ侵略に関する声明を発表。

ロシアに対し、侵略および軍事行動を直ちに停止するとともに、暴力からの保護などに関わる子どもの権利条約上の義務を維持するよう要求するもの。委員会は3/24にも声明を発表し、とくに避難の過程で保護者と離ればなれになった子どもへの支援を強化するよう関係国・機関に求めている。

3/7 ユニセフとUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、家族と離ればなれになったウクライナの子どもの保護を各国に要請。

関係国・機関に対し、このような子どもの入国を認め、入国後すぐに身元確認と登録を行って安全を確保することなどを求めた。3/10にはユニセフがウクライナ内外の子どもの避難民・難民を保護するための指針も発表している。

3/10 欧州評議会の委員会、子どもの性的自撮り画像・動画に関する報告書を発表。

欧州評議会・性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約(ランサローテ条約)の実施状況を監視しているランサローテ委員会が、ネットにおける子どもの性的自撮り画像・動画の問題に関する報告書を作成して対応策を提言。

3/10 ユニセフと世界銀行、新型コロナ禍が家計に及ぼした影響についての報告書を発表。

子どもがいる家庭の3分の2以上で収入が減少していることなどを明らかにし、子どもと家庭を対象とする社会的保護の強化などを訴えた。

3/17 OECD(経済協力開発機構)、新型コロナ禍と若者に関する新たな報告書を発表。

若者(15~29歳)が主導する72か国の151団体から出された意見を踏まえ、若者を対象とする各国の新型コロナ対策を検証したもの。

3/21 国連の人権条約委員会、障害のある子どもの権利に関する共同声明を発表。

国連・子どもの権利委員会と障害者権利委員会によるもの。とくに暴力・虐待・搾取の解消、インクルーシブ教育、家族生活に対する権利について取り上げている。

3/24 ユネスコ、ウクライナ難民の子どもへの教育支援に関する調査結果を発表。

ウクライナから避難してきた子ども・学生を受け入れている欧州諸国29か国を対象としたもの。多くの国は、移行支援を提供しながら、これらの子どもをできるだけ速やかに普通学校に統合しようとしていることなどが確認された。

3/30 ユニセフ、新型コロナ禍が教育に与えた影響についての最新報告書を発表。

学校が完全に再開されていない国がいまなお23か国あり、不平等が拡大しつつあることなどを指摘。

3/31 国連・子どもの権利委員会、一般的意見26号(子どもの権利と環境)に関する子ども向けオンラインアンケートを開始。

回答期限は6月30日。今後、アンケートを踏まえた草案を作成・公開してあらためて意見募集を行った後、2023年に採択することを目指している。

4/1 国連人権理事会、子どもの権利と家族再統合に関する決議を採択。

家族と離ればなれになった(なる可能性がある)子どもに関わる決定において子どもの最善の利益を第一次的に考慮するとともに、出入国管理制度の在り方を見直すことなども要請。

4/6 ユネスコ、男子の教育離脱に関する報告書を発表。

とくに中等・高等教育段階で男子の成績低下や教育離脱が目立つ世界的傾向を指摘し、学校を「ジェンダー変容的」なものにしていくことを含む対応策を提言。

5/3 国連・子どもの権利委員会の第90会期が始まる。

第89会期(1~2月)が2週間に短縮されたため、通常の会期(3週間)より1週間長い会期とし、12か国の報告書を審査する予定。

5/11 EU、子どもとインターネットに関する新たな戦略を採択。

(1)安全なデジタル環境の確保、(2)デジタル世界における子どもたちのエンパワーメント、(3)子どもの積極的参加のさらなる推進を3本柱とするもの。あわせて、オンラインでの子どもの性的虐待の規制に関する新たな規則も提案。

5/18 ユニセフ、人道危機における保育についての指針を発表。

紛争や自然災害を含む緊急事態下でも保育を提供し続けることの重要性を指摘し、そのための方策などを提言。

5/20 第5回児童労働撤廃世界会議(南アフリカ)が終了。

とくに農業における児童労働を根絶することなど、6項目の重点課題を掲げた「ダーバンからの行動要請」を採択。会議には初めて子どもも参加した。

5/24 ユニセフ、先進国の子どもの環境とウェルビーイングに関する報告書を発表。

日本は総合順位で13位に位置し、環境面では相対的に良好な状況にあるとの結果に。

各国動向

3/3 台湾政府、就学前施設での暴力などに対する対応を強化する法改正案を決定。

子どもに対して体罰、セクシュアルハラスメント、いじめ、不適切なしつけを行ったと認定された就学前施設の経営者または職員への罰則を強化するとともに、処罰対象とされた職員の復職の停止・禁止などを提案している。

3/4 フィリピンで性的同意年齢を引き上げる法律が成立。

性的同意年齢を12歳から16歳に引き上げるとともに、関連の研修および性教育の充実について規定。合意に基づく若者同士の性行為が処罰されないようにも配慮されている。

3/7 米国で高校生が「ゲイと言ってはいけない」法案に抗議して授業をボイコット。

公立学校で性的指向について議論することを禁止するフロリダ州の通称「ゲイと言ってはいけない」法案に抗議して多数の高校生が授業をボイコット。法案は3/8に可決された。

3/11 フィリピンでインクルーシブ教育法が成立。

法律で定められた正式な略称は「インクルージョン政策および障害のある学習者向けのインクルーシブ教育支援サービス導入法」で、インクルーシブ学習リソースセンターの全国的設置、いじめ・差別などからの障害児の保護などについて規定。

3/17 英国政府、「オンライン安全法案」を議会に提出。

子どもにとって有害なコンテンツから子どもたちを保護することが大きな目的のひとつ。提出前日(3/16)にはイングランド子どもコミッショナーが関係大臣の委嘱を受けてとりまとめた勧告も発表されている。

3/29 ウェールズ(英国)の子どもコミッショナー、子どもの権利を学校で推進していくための指針を発表。

子どもの権利条約と障害者権利条約に関する教育関係者の意識啓発を図ることが法律で義務づけられたこと(2021年)などを踏まえたもの。4/21には乳幼児教育・ケアの現場向けのリソースパックも発表。

4/1 台湾国家人権委員会、子どもの権利の実施状況に関する意見書を発表。

「子どもの権利条約実施法」に基づいて台湾政府が発表した第2次報告書を受けたもの。体罰(親によるものを含む)の全面禁止も勧告している。民間団体の調査(5/10発表)によれば、親の8割近くが体罰禁止に賛成しているとのこと。

4/7 香港オンブズマン事務所、知的障害児学校に関する職権調査の開始を発表。

知的障害児学校の宿舎部で、身体拘束をはじめとする子どもに対する不当な取扱いが行われているという報道などを受けたもの。

4/12 米・国務省、2021年版人権報告書を発表。

日本に関する部分では、従来から焦点が当てられてきた虐待、教員による性暴力、性的搾取のほか、子どもの無国籍、「痴漢」問題、「お母さん食堂」(ファミリーマート)の名称変更を求める署名、朝鮮学校の扱いなどについても取り上げられた。

4/14 韓国国家人権委員会、芸能界で働く子どもの人権保障を強化するよう勧告。

労働時間を規制して休憩権・睡眠権・健康権・学習権などの基本的権利を保障するためのガイドライン作成などを関連省庁に対して求めた。

4/27 イングランド(英国)の子どもコミッショナー、「家族」についての調査を開始。

関係大臣の委嘱に基づく調査で、家族に対する支援の在り方を検討することなどが目的。あわせて、6歳以上の子どもを対象とするオンラインアンケートも始まった。

5/5 韓国政府、「子ども基本法」制定の意向を表明。

子どもを権利行使の主体として承認し、遊ぶ権利を含む具体的な権利についても規定する方針。2023年中の制定を目指す。

5/23 イングランド(英国)の社会的養護改革に関する最終報告書が発表される。

独立の専門家による検証結果を踏まえたもので、独立アドボケイトへのアクセスを強化すること、養護の経験を差別禁止法制における保護属性に位置づけることなども提唱。

5/27 韓国でオンライン資料館「子どもの権利歴史館」が開設される。

2019年7月に創設された韓国・子どもの権利保障院が開設したもの。韓国における子どもの権利の歴史を6つの年代別に整理し、さまざまな資料を閲覧できるようにした。

(平野裕二/ARCAction for the Rights of Children=代表)

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