情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 平野裕二2022年6月1日~8月31日

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  • 2022.09.20 情報BOX【国際編】 #はらっぱ #PICKUP

    情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二 平野裕二2022年6月1日~8月31日

国連・地域機関・国際NGOなど

6/1  ENOC(子どもオンブズパーソン欧州ネットワーク)、新型コロナ禍が子どもに及ぼした影響についての評価の結果を発表。

13か国の子どもオンブズパーソンが参加したこの調査により、新型コロナ禍が子どものさまざまな権利に否定的な影響を及ぼしており、対策においても子どものことがほとんど考慮されていないことなどがあらためて明らかになった。

6/3 国連・子どもの権利委員会の第90会期が終了。

12か国の定期報告書に関する総括所見を採択したほか、個人通報制度に基づく審査を踏まえ、3か国・4件について条約違反を認定(公立幼稚園における体罰に関して実効的調査を行わなかったことは条約違反であるとされたジョージアを含む)。2021年9月に開催された「子どもの権利と代替的養護」に関する一般的討議の報告書も採択した。

6/9 EU理事会、「EU子どもの権利戦略」を歓迎・支持。

2021年3月に採択された「EU子どもの権利戦略」について、EU理事会(閣僚理事会)が歓迎の意と支持を表明。新型コロナ禍やウクライナ危機を踏まえ、とくに危機的状況・緊急事態下での子どもの権利の保護にいっそう注力していくことを関係機関に要請した。

6/13 国連人権専門家、ミャンマーの子どもたちのための行動を国際社会に要求。

ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者が、国連人権理事会に提出した報告書「失われつつある世代」を発表。軍事政権が同国の子どもたちに破壊的影響を与えているとして、国連加盟国に対応を求めた。国連・子どもの権利委員会も6月29日に声明を発表し、ミャンマー政府と国際社会に対応を促している。

6/24 ENOC、ウクライナから避難してきた子どもの保護に関する新たな声明を発表。

▽避難してきた子どもの登録、▽保護者・養育者に付き添われていない子どものための緊急対応、▽受け入れ・生活条件の整備、▽性的搾取・人身取引からの保護などの対応を欧州諸国に対して要請した。

6/28 ユニセフ、子どもと武力紛争に関する報告書を発表。

『子どもと武力紛争の25年』と題するこの報告書で、ユニセフは、子どもに対する武力紛争下の権利侵害は15年間で26万6,000件以上発生しており、2005年以降その数が年々増加していることなどを指摘。国際社会のいっそうの対応を促した。

6/30 国連・教育変革サミットの「プレサミット」が閉幕。

6月28日からパリのユネスコ本部で開催されていた国連・教育変革サミットの「プレサミット」が終了。154か国から教育大臣・副大臣(次官)が出席した。サミット本番は9月16~19日にニューヨークの国連本部で開催される予定。

7/18 武力紛争時の子どもの誘拐に関するガイダンス、発表される。

子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表事務所がユニセフなどとの協議を踏まえて作成。子どもの誘拐は武力紛争時に子どもに対して行われるその他の重大な人権侵害(兵士としての使用など)とも関連しており、防止や被害者保護のための指針を示した。

7/25 ユニセフなどが気候変動の影響で移動する子どもに関する指針を発表。

指針の名称は「気候変動を背景として移動する子どものための指導原則」。ユニセフ・IOM(国連移住機関)・国連大学などがとりまとめたもので、気候変動の悪影響の結果として国内でおよび国境を越えて移動する子どもの保護のための原則などを掲げた。

7/28 国連総会、クリーンで健康的で持続可能な環境に対する権利についての決議を採択。

決議案には161か国が賛成(棄権8・反対0)。国連人権理事会が同じテーマに関する決議を採択した2021年10月には棄権した日本も、今回は賛成した。

8/17 子どものために活動する国際的NGO、世界的飢餓に関する共同声明を発表。

セーブ・ザ・チルドレン、プラン・インターナショナルなどの6団体から構成されるJoining Forces Allianceが、世界ではいま1分に1人のペースで子どもが重度の栄養不良に陥っていることなどを指摘し、国際社会に緊急の対応を要請した。

8/2223 国連・障害者権利委員会、日本における障害者の権利保障の状況について審査。

国連・障害者権利条約に基づいて提出された日本の第1回報告書を審査した委員会は、障害児が隔離された特別教育の対象にされていてインクルーシブ教育を否定されているなどとして、遺憾の意を表明。障害児の意見表明権も十分に保障されていないと指摘した。

8/29 国連・子どもの権利委員会の第91会期が始まる。

9月23日までの4週間で、ウクライナやドイツを含む8か国の報告書を審査する。開会会合では、NGOであるChild Rights Connectの子どもアドバイザリーチームのメンバーが、ビデオメッセージを通じてまたはオンラインで初めて発言。

各国動向

6/7  韓国国家人権委、学校暴力の加害者に対する行き過ぎた対応について是正を勧告。

被害生徒と加害生徒を分離するために加害生徒を居住地から25キロ離れた学校に転校させたのは、成長期の生徒の健康権と学習権の侵害につながるおそれがあるため行き過ぎであるとして、転校先の再指定などを促した。

6/13 ウェールズ(英国)の子どもコミッショナー、親向けの子どもの権利条約ガイドページを開設。

▽子どもの意見の尊重の原則、▽可能性を最大限発揮できるような育ち、▽安全でいる子どもの権利に焦点を当て、条約を踏まえたウェールズの法制度や取り組みなどを紹介。

6/27 韓国で体罰禁止の認識が広がっていないことが判明。

2021年1月に民法の「懲戒権」規定が削除されて体罰が全面禁止された韓国で、8割弱がそのことを知らなかったことが、セーブ・ザ・チルドレン・コリア(SCK)が発表した調査結果によりわかった。「体罰はどんな場合にも使用してはならない」と答えた割合も34.4%に留まり、(消極的)容認派が65.1%を占める状況。

7/6 韓国国家人権委員会、児童養護施設の人権状況の改善を勧告。

全国10か所の児童養護施設を対象とする訪問調査の結果を踏まえたもの。子どもの人権保障のための現行制度が子どもたちの間で十分に知られていないことも明らかになり、人権保護関連の教育の提供、子どものプライバシーと自己決定権の保障を施設に義務づける法改正などを勧告。

7/11 韓国・個人情報保護委員会、子どもに「忘れられる権利」を認める方針を発表。

同委員会がとりまとめた「子ども・青少年個人情報保護基本計画」で明らかにされたもので、本人が子ども時代にSNS等で行った投稿、保護者が投稿した子ども時代の写真、友人が同意なしに投稿した画像・動画などの削除を要求する権利を認める法整備を計画。

7/14 韓国政府、「子ども基本法」制定に向けた連続公開討論会を開始。

9月1日までの5回にわたって開催し、「健康権保障の強化」「遊ぶ権利と休む権利」「デジタル社会」などの問題について議論。来年(2023年)中の制定をめざす「こども基本法」の具体的あり方について幅広く討議する。

7/21 台湾政府、性犯罪等で有罪判決を受けた教職員への対応強化の法改正案を承認。

公立学校の教職員が性犯罪や生徒に重大な身体的・精神的苦痛を与えるいじめなどを理由に有罪とされた場合、関連当局の承認を得ず学校によって直接解雇されるとともに、公立学校への任用資格を恒久的に失うことなどを定めたもの。セクシュアルハラスメント、いじめまたは体罰を行った教職員に対する1~4年の再任用禁止処分についても規定。

8/26 ユニセフ、経済危機の影響を受けるスリランカの子どもたちへの支援を要請。

1948年の独立以来最悪の経済危機の影響で子どもたちの栄養状況や教育保障が悪化し、子どもの約半数が何らかの緊急支援を必要としているとして、対応の必要性を指摘。

8/29 ユニセフ、パキスタンの洪水被害に対応するための緊急支援を要請。

国土の3分の1が水没する規模の洪水が発生したパキスタンで子ども340万人が被災したとユニセフが発表。国際社会に対し、3,700万米ドルの緊急支援資金を要請した。

8/30 ウクライナ紛争における子どもの死傷者数が1,000人を超えたことが判明。

ロシアによるウクライナ侵略(2月24日)から半年を経過し、子どもの死傷者が少なくとも1,114人(死者379人・負傷者735人)にのぼったことが判明。国連・子どもの権利委員会による報告書審査の場でウクライナ政府代表が明らかにしたもの。

(平野裕二/ARCAction for the Rights of Children=代表)

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