情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二2022年9月1日~11月30日
9/8 国連総会、「国連ユース(若者)事務所」の設置を無投票で決議。
新たな事務所は、既存のユース担当国連事務総長特使事務所を統合する形で、国連事務局内に設置される予定。決議では、事務所の代表には35歳未満の適格者が望ましいとした。
9/8 国連・障害者権利委員会、日本の第1回報告書審査に基づく勧告を発表。
8月に実施した審査を踏まえたもの。子どもとの関連では、▽「隔離特別教育」を終わらせるためインクルーシブ教育に関する行動計画を採択すること、▽普通学校による障害児の受け入れ拒否を禁止すること、▽障害児に普通保育制度を保障することなどを勧告。
9/9 国連・障害者権利委員会、脱施設化に関するガイドラインを発表。
障害者全般について施設措置からの脱却を促すとともに、とくに子どもに関して、「障害のある子どもの施設措置(すなわち非家庭的環境への措置)は、その形態を問わず、隔離の一形態であり、有害であり、かつ条約違反である」などと断じて脱施設化を促した。
9/12 世界で5千万人が「現代的奴隷」の状況にあるとILOなどが発表。
ILO(国際労働機関)・IOM(国際移住機関)などが強制労働と強制婚の推計値をまとめた報告書で明らかにされたもの。強制労働を課されている者のおよそ8人に1人(330万人)が子どもで、そのうち半数以上が商業的性的搾取を強要されていた。
9/16-19 ニューヨークの国連本部で国連・教育変革サミットが開催される。
初日の16日は若者主導の日と位置づけられ、世界中の若者との協議を踏まえた「ユース宣言」が発表された。最終日にグテーレス国連事務総長が発表した声明では、今後の教育変革のあり方として、▽学習者の発達を支える学習環境の確保、▽教員の自己変容の支援、▽デジタル革命の活用、▽教育への投資の強化の4項目が強調されている。
9/23 国連・子どもの権利委員会の第91会期(8/29)が終了。
今回審査した8か国についての総括所見を採択したほか、条約違反を訴える個人通報について8件の決定を採択。スペイン(4件)とフィンランドを相手どった5件の通報に関して条約違反を認定した。
9/29 国連人権機関・専門家が違法な国際養子縁組への対処を各国に要請。
子どもの権利委員会をはじめとする国連の人権機関・専門家が、違法な国際養子縁組の防止と解消を訴える共同声明を発表。違法な国際養子縁組を防止する義務、違法な国際養子縁組を捜査する義務、被害者に救済を提供する義務を遵守するよう、各国に要請した。
10/6 子どもに関わる国際機関がすべての子どもの権利の保護を求める共同声明を発表。
国連・子どもの権利委員会やユニセフなどが「18歳未満のすべての人は子どもである」と題する共同声明を発表。とくに武力紛争の状況下における子どもの権利保障の必要性を再確認し、すべての子どもの権利を「すべての場所で。いかなる時にも」守るよう訴えた。
10/7 国連の子どもの権利委員会と障害者権利委員会がウクライナの障害児の保護のための緊急行動を要請。
入所施設から国内外に避難した障害児および危険な地域に留まったままの障害児の状況について重大な懸念を表明し、施設にいるウクライナの障害児の死亡・人身取引・虐待のリスクを低減させるために緊急に行動することを関係国や国際機関に求めた。
10/7 国内避難民の人権に関する国連特別報告者、訪日調査の予備的所見を発表。
福島第一原発事故で避難を余儀なくされた人々の人権保障状況に関する訪日調査(9月26日~10月7日)を踏まえたもの。「強制避難者」と「自主避難者」を区別することなくすべての避難者を平等に支援する必要性を強調するとともに、いじめや放射線教育に関する取り組みの強化を促した。正式な報告は2023年6月の予定。
10/17 国連・子どもの権利委員会、抗議デモに関連した子どもの権利侵害の停止をイランに要求。
少なくとも23人の子どもが治安部隊によって殺害されたことも含めてイラン政府の対応を強く非難し、とくに子どもたちの生命権を保護すること、平和的デモに参加している子どもたちを保護することなどを強く促した。
11/3 国連・自由権規約委員会、日本の第7回報告書に関する総括所見を発表。
10月に実施した審査を踏まえたもの。子どもとの関連では、▽すべての子どもに対する差別等をなくすこと、▽家族からの子どもの分離(一時保護を含む)や監護に関する決定において子どもの最善の利益を考慮すること、▽親による子どもの奪取の事案に十分に対応すること、▽福島原発事故被災者への支援を継続することなどが勧告された。
11/7 国連総会、11月18日を「子どもの性的搾取・虐待・暴力の防止およびこれらの行為からの癒しのための世界デー」とすることを決議。
ナイジェリアとシエラレオネが提出した決議案を無投票で採択。
11/15 国連・子どもの権利委員会、一般的意見26号(子どもの権利と環境)の第1次草案を発表して意見募集を開始。
草案は、日本を含む103か国の子どもたち7,416人から寄せられた声も踏まえて作成された。意見募集は2023年2月15日まで行われ、同年中には正式文書が採択される見込み。
11/16 ウズベキスタンで開催された「乳幼児期ケア・教育に関する世界会議」が終了。
首都タシュケントで14日から開催されていたもの。最終日に採択された宣言文書では、▽すべての子どもに公平・包括的・良質な乳幼児ケア・教育を保障すること、▽少なくとも1年間の無償・義務的就学前教育に対するすべての子どもの権利を保障することなどを呼びかけ。
11/15 国連・子どもの権利委員会とIPU(列国議会同盟)、議会の役割に関する共同声明を発表。
世界子どもの日(11月20日)を前に、子どもの権利条約の実施において議会(地方議会を含む)が果たしうる役割を明らかにし、取り組みの強化を要請するもの。
11/18 ユニセフが子どもと差別に関する報告書を発表。
いまなお世界中の子どもが教育、健康、出生登録、司法制度へのアクセスなどに関して差別を受けていることを明らかにし、差別禁止法の制定などを含む対策の必要性を強調した。
11/20 COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)が閉幕。
11月6日からエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されていたもの。さまざまな課題が引き続き残されたが、気候変動への対処における変革の主体としての子ども・若者の役割が行動計画で公式に認められるなどの成果があった。
11/25 女性に対する暴力撤廃の国際デーにあたって国連人権専門家等が声明を発表。
ジェンダー平等を後退させようとする組織的・国際的動きが激しくなっていることなどを憂慮し、「女性と少女に対する暴力を終わらせることこそ、世界的危機への対処と繁栄の達成の鍵」と訴えた。
9/8 ニュージーランド教育省、全国カリキュラムの見直しに参加する若者の募集を開始。
子どもコミッショナー事務所との共同事業で、15~17歳の若者30人から構成される「若者の声」グループを設置する。マオリ(先住民族)や太平洋諸島民系の若者、難民・庇護・新規移住の経験を持つ若者、障害のある若者などの分科会も設置予定。
9/13 国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」、米国の各州が子どもの権利をどの程度保障しているかに関する成績表を発表。
(a)児童婚、(b)体罰、(c)児童労働、(d)少年司法の4分野の法律に焦点を当て、A(最高)~F(最低)の6段階で評価したもの。Cが4州のみで、ほとんどはD(26州)またはF(20州)という結果になった。
9/22 韓国国家人権委員会、パーマ・髪染めを禁止する校則の是正を勧告。
このような規定は憲法10条で保障された生徒の権利(個性を自由に表現する生徒の権利や自己決定権)を過度に制限するものであるとして、女子高の校長に改正を促した。
9/23 英国の子ども・若者コミッショナー、「生活費危機」への対応を政府に要請。
イングランド以外の3地域(スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)の子ども・若者コミッショナーによる共同声明で、ウクライナ紛争などを背景とする「生活費危機」が子どもと家庭に及ぼす悪影響を緩和するための対応を英国政府と各自治政府に求めた。
9/29 イングランド(英国)の子どもコミッショナー、オンラインの安全に関する新たな報告書を発表。
2,005人の子どもたち(8~17歳)の声を踏まえたもので、「テック企業による自主規制は功を奏してこなかった」と結論づけ、現在議会に提出されている「オンライン安全法案」への期待を表明した。
10/11 韓国のNGO、子どもの「休む権利」の保障を求めるキャンペーンを開始。
国際NGO「グッドネーバーズ」の韓国組織が開始したキャンペーンで、▽子どもが十分に休むことができる時間の保障、▽子どもの発達に必要不可欠な休息を確保する教育政策など4項目の施策を要請。
10/11 ウェールズ(英国)の子どもコミッショナーがオンラインアンケート「ウェールズのための大きな希望」を開始。
3年ごとの活動計画作成の参考とするため、子ども・おとなを対象として定期的に実施している調査で、今回は7~18歳の子ども・若者(場合により25歳)のほか2~7歳の子どもを新たに対象に加えている。
11/14-18 台湾で国連・子どもの権利条約に関する第2回独自審査が実施される。
子どもの権利条約実施法(2014年)に基づき、政府が国外から専門家を招いて行うもので、学業によるストレスと自殺の問題などに焦点が当てられた。