情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二2023年3月1日~2023年5月31日

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  • 2023.06.20 情報BOX【国際編】 #はらっぱ #PICKUP

    情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二2023年3月1日~2023年5月31日

国連・地域機関・国際NGOなど

3/1 ILO(国際労働機関)とユニセフが子どもの社会的保護に関する報告書を発表。

世界で10億人以上の子どもが十分な社会的保護を受けられていない実態を明らかにし、「普遍的子ども手当」の支給を軸とする取り組みの強化を各国に促した。

3/1 国連人権専門家、「包括的セクシュアリティ教育」の推進を各国に促す資料を発表。

教育に対する権利に関する国連特別報告者などが共同でとりまとめたもので、包括的セクシュアリティ教育に対する権利は人権であって、宗教的・文化的な価値観や信条を名目として妨げられてはならないことなどを強調。

3/6 国連人権専門家、タリバンによるアフガニスタンの女性・女児の迫害を非難。

アフガニスタンに関する国連特別報告者が、国連人権理事会で報告し、タリバンによる女性・女児への差別的取扱いは「ジェンダー迫害」にあたる可能性があるなどと厳しく批判。

3/8 国連人権理事会、「子どもの権利とデジタル環境」をめぐって議論。

12歳~16歳の子ども5人もパネリストとして参加し、子どもがデジタル環境で自己の権利を全面的に行使するための課題と機会などについて討議した。

3/8 犯罪とすべきではない行為の非犯罪化に関する「38日原則」を国際NGOが発表。

ICJ(国際法律家委員会)がUNAIDS(国連AIDS合同計画)・OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)とともに発表したもので、中絶、同性間関係、セックスワーク、薬物の使用などの行為の不当な犯罪化に終止符を打つための指針を提示したもの。

3/15 人権のために行動している子どもについての共同声明に日本も賛同。

国連人権理事会で開催された会合でルクセンブルク代表が読み上げたもので、人権擁護者である子どもたちの保護とエンパワーメントを訴えた。日本も含む約60か国が賛同。

3/17 国際刑事裁判所、ロシアのプーチン大統領らに対して逮捕状を発付。

国際法で戦争犯罪とされている、ウクライナからの子どもの不法な追放・移送を容疑とするもの。大統領のほか、大統領府子どもの権利コミッショナーも対象とされている。

4/4 国連人権理事会の第52会期が終了。

「子どもの売買および性的搾取に関する特別報告者」の名称を「子どもの売買、性的搾取および性的虐待に関する特別報告者」に変更して任務を3年間延長する決議のほか、子どもの出生登録の確保に関する決議なども採択。

4/10-12 第1回「アフリカ子どもサミット」がナイロビ(ケニア)で開催される。

ケニアの子どもたちが呼びかけたこの会議には、アフリカ全土から300人以上の子どもが参加。「意見を聴かれる権利(子ども参加)」や「子どもに対する暴力」など8つの問題に関する子どもたちの勧告をまとめた「成果声明」を採択した。

4/17 OECD(経済協力開発機構)、「デジタル時代における乳幼児のエンパワーメント」に関する報告書を発表。

1)デジタルリスクからの保護、2)デジタル格差の縮小、3)デジタルリテラシーの育成、4)子ども・家族との良質な相互作用の増進、5)実践プロセスと質保証の支援の5つを主要な課題として挙げた。

4/18 国連人権専門家、日本の入管法改正案に懸念を表明。

政府が国会に提出した入管法(出入国管理及び難民認定法)改正案について、移住者の人権に関する特別報告者などの人権専門家が日本政府に共同書簡を送付。子どもの収容が明示的に禁止されていない点も含め、「国際人権基準を満たさない」と指摘した。

5/4 国連人権専門家、英国政府の「不法移住法案」に懸念を表明。

英国政府が議会に提出した「不法移住法案」について、移住者の人権に関する特別報告者などの人権専門家が政府に共同書簡(5月4日付)を送付して懸念を表明。同法案については英国各地の子どもコミッショナーもさまざまな問題を指摘している。

5/8 国連・子どもの権利委員会の第93会期が始まる。

今回の審査対象国は、フランス、ヨルダン、サントメプリンシペ、フィンランド、テュルキエ(トルコ)、英国の6か国。大谷美紀子委員が2年の任期を終えて委員長を退任し、アン・マリー・スケルトン委員(南アフリカ)が新委員長に選出された。

5/19 OHCHR、子どもの権利条約と女性差別撤廃条約の個人通報制度の受入れ促進のためのツールキットを発表。

世界人権宣言採択70周年事業の一環。個人通報制度について定めた選択議定書の批准は、子どもの権利の保護・増進や女性・女児に対する差別の撤廃への国のコミットメントを再確認することになるなどの意義を挙げて、批准の重要性を強調している。

5/19-21 広島でG7(先進7か国首脳会議)が開催される。

20日に採択されたコミュニケでは、教育、ジェンダー、オンラインにおける子どもの性的搾取・虐待、児童労働の問題なども取り上げられた。

5/24 子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表、子どもの避難民の権利保護に関する報告書を発表

ユニセフやUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)などの国際機関とともに作成したもの。子どもの福祉・保護のために設けられている国の制度を改革し、避難民などの子どもの包摂を進めるよう、各国に促している。

5/26 国連・子どもの権利委員会の第93会期が終了

報告書審査を踏まえた総括所見を採択したほか、個人通報制度に基づき、ペルー、チェコ、デンマークについて条約違反を認定。「とくに気候変動に焦点を当てた子どもの権利と環境」についての一般的意見26号も正式に採択した(7月公開予定)。

各国動向

3/16 韓国国家人権委員会、体育学校在学中の器械体操選手の人権について意見を表明。

スポーツに特化した公立学校である「体育中学校・高校」に在学する器械体操選手の権利を守るため、科学的な練習体系と体重管理プログラムの開発・普及、寮の環境改善などを関連機関と体操協会長に対して促した。

3/20 米・国務省、2022年版人権報告書を発表。

米国の国務省が毎年発表しているもので、日本に関しては、障害児の隔離教育、福岡で起きたNPOによる行動障害児監禁事件などが新たに取り上げられた。

3/20 ノルウェーの専門家委員会、子どもの保護制度の見直しに関する報告書を提出。

家庭外への子どもの措置が検討されるすべての事案で「子ども代理人」を任命することなど、子どもの最善の利益を検討する際に考慮すべき重要な要素を子ども福祉法に明記することなど、118項目の勧告を子ども家族相に対しておこなった。

3/22 台湾政府、体罰等を禁止するための民法改正案を発表。

親の懲戒権について定めた民法第1085条を改正し、子育てにおける子どもの年齢や発達水準の考慮、子どもの人格の尊重、身体的・精神的暴力の禁止を明記するというもの。

3/22 スコットランド(英国)政府、乳幼児の声を受けとめるためのガイドラインを発表。

保育などの現場で乳幼児の気持ちや意見を受けとめてサービス等を改善していくための指針を示したもの。チェックリストや好実践例も収録されている。

3/22 ウェールズ(英国)の子どもコミッショナー、子どものニューロダイバーシティ(神経多様性)への対応のあり方に関する報告書を発表。

「診断主導」ではなく真に「ニーズ主導」のアプローチを目指し、正式な診断を受けているかどうかにかかわらず、すべての子どものニーズを満たすようにすること、たらいまわしが生じないようにすることなどを促した。

3/24 ノルウェー政府が新教育法の立法提案を議会に提出。

子どもの最善の利益原則や子どもの参加権を明記すること、進学などをめぐる問題について15歳以上の子どもの自己決定権を規定することなどのほか、ホームエデュケーションの監督、宿題を出す学校の権限について明確にすることなどを提案。

3/31 英国の民間委員会、子どもの権利を踏まえたデジタル製品・サービス開発のためのガイダンスを発表。

英国に拠点を置き、デジタル世界における子どもの権利・利益の保護について検討してきた「デジタル未来委員会」がとりまとめたもの。▽公平性と多様性、▽最善の利益、▽参加、▽主体性など11の原則を掲げた。

4/28 韓国で「子ども基本法」案が国会に提出される。

与党「国民の力」の議員が発議したもの。5月2日には野党「共に民主党」からも法案が発議された。両案とも子どもが有する主な権利について具体的に規定し、独立した監視機関の設置も提案している。

5/29 スコットランド(英国)の民間団体、子どもの権利を踏まえた予算プロセスのあり方に関する報告書を発表。

Together(スコットランド子どもの権利連合)がエディンバラ大学とともにとりまとめたもの。国連の社会権規約委員会や子どもの権利委員会の見解を踏まえ、予算プロセスにおいて子どもの権利が適切に考慮されるための原則および実務のあり方を検討している。

5/31 韓国のNGO、「子どもの参加権意識調査」の結果を発表。

セーブ・ザ・チルドレン・コリアが4月下旬に実施した「子どもの参加権意識調査」の結果、▽子どもの参加権に関する認知度は子ども43%・おとな33%に留まること、▽子どもの参加権が十分に守られていると答えたのは子ども46%・おとな24.9%にすぎなかったことなどが判明。

(平野裕二/ARCAction for the Rights of Children=代表)

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