情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二2023年6月1日~2023年8月31日
6/5-6 オスロ(ノルウェー)で武力紛争下の子どもの保護に関する国際会議が開催される。
これにあわせてユニセフ(国連児童基金)が発表した報告書によれば、2005~22年の18年間に記録された紛争下における子どもへの重大な権利侵害が31万5,000件にのぼるなど、依然として深刻な状況が明らかに。
6/14 ユニセフが子どもの避難民への対応強化を各国に要請。
世界各地で2022年末までに避難を余儀なくされた子どもの人数が過去最高の4,330万人に達したこと、子どもの難民・庇護希望者の数も過去最多(1,750万人)を記録したことを踏まえ、これらの子どもを「何よりもまず子どもとして」扱うことなどを各国に促した。
6/19 国連人権専門家、アフガニスタンにおける「ジェンダー・アパルトヘイト」をあらためて憂慮。
国連人権理事会の会合で、アフガニスタンの人権状況に関する国連特別報告者と女性・少女に対する差別に関する国連作業部会の委員長が、タリバンによる女性と少女への「重大な、組織的なかつ制度化された差別」に強い憂慮の念を表明し、国際社会に対応を要請。
6/20 多様な家族のあり方を支持する声明に37か国が賛同。
国連人権理事会の会合でオーストラリア代表が読み上げた声明。複数世代家族・拡大家族、ひとり親世帯、LGBTIQ+家族、先住民族の親族集団を含むさまざまな家族を包摂する支援(DVなどの家庭における人権侵害の防止を含む)の必要性を強調。日本は賛同せず。
6/22 国連人権専門家、監護権争いで女性と子どもを暴力から守るための改革を勧告。
女性と女児に対する暴力に関する国連特別報告者が国連人権理事会で報告し、監護権や面会交流に関する取り決めに際しては暴力からの保護や子どもの最善の利益が優先されなければならないと強調。子どもの国際的奪取に関するハーグ条約の運用改善/改正も勧告。
6/28 ネット上の子どもの性的虐待表現物(CSAM)の削除を求める行動呼びかけに、日本を含む71か国が署名。
UNDOC(国連薬物犯罪事務所)と英国政府がウィーン(オーストリア)で開催した専門家会合を踏まえたもの。英国政府が発表。
7/1 EU(欧州連合)「子ども参加プラットフォーム」の運用が正式に開始される。
EU「子どもの権利戦略」(2021年)で設置が予告されていたもの。EUと欧州評議会の共同事業として、同時期に「ヨーロッパのための子ども参加(CP4E)」も開設された。
7/10 日本に関する第4回UPR(普遍的定期審査)の結果文書が公表される。
日本政府は、約300項目の勧告のうち180項目について「フォローアップすることを受託」すると表明。一方、包括的性教育の実施を含む36項目については「受け入れない」とした(残りの勧告については「部分的」受託または「留意」)。
7/15 国際機関や国際NGOが報告書『ジェンダーに基づく学校関連暴力』を発表。
これらの暴力をなくしていくため、「学校全体アプローチ」に基づいてジェンダー変容的な取り組みを進めていくことの必要性を強調。
7/24 IOM(国際移住機関)、子どもの人身取引被害に関する報告書を発表。
ハーバード大学と共同でとりまとめたもの。子どもの人身取引被害者の半数以上が居住国内で被害にあっていることなどを明らかにし、法定就労年齢に達した子どものために安全で人間らしい労働の機会を保障することを含む、対策の強化を提唱。
7/26 ユネスコ(国連教育科学文化機関)、報告書『教育におけるテクノロジー』を発表。
教育におけるテクノロジーの設計・利用のあり方について、民間事業者ではなく国が責任をもってその条件を定めることなどを提唱。
8/4 国連「ビジネスと人権」作業部会が訪日調査を終え、予備的所見を発表。
7月24日に来日し、各地で聴き取りを行った結果を踏まえたもの。メディア・エンターテインメント業界における性的暴力・ハラスメントを含む多数の問題点を指摘して対策を促すとともに、独立した国内人権機関の設置も強く勧告。
8/17 国連事務総長、「子どもの権利の主流化」に関するガイダンスノートを発表。
国連諸機関全体に向けたもので、「子どもの権利は人権である」「子どもは、固有の諸権利を持った特有の権利保有者である」など8項目の指導原則を掲げるとともに、国連の活動で子ども参加を保障・推進していくことなども求めた。
8/18 国連人権専門家が「エンターテインメント業界における子どもの性的虐待・搾取」に関する情報の募集を開始。
子どもの売買・性的搾取に関する国連特別報告者が、来年(2024年)3月の国連人権理事会に提出する報告書の参考とするために呼びかけたもの。ジャニーズ事務所で行われていた性加害問題も念頭に置かれている。
8/28 国連・子どもの権利委員会、子どもの権利と環境に関する一般的意見26号を発表。
「とくに気候変動に焦点を当てた子どもの権利と環境」をテーマとし、5月の第93会期に採択されていたもの。「3重の惑星危機」(気候緊急事態/生物多様性の崩壊/汚染の蔓延)が現在および将来の子どもたちの具体的権利に悪影響を及ぼしているとして、各国に緊急の対応を求めている。
6/1 フランス議会、「シェアレンティング」をめぐる民法改正案の合意に至らず。
SNSで親が子どもの画像や動画をシェアする「シェアレンティング」の抑制を目的とする民法改正案をめぐり、フランス議会の下院と上院の見解が対立。子どものプライバシーや肖像権を法律でどのように位置づけるか、引き続き議論される。
6/27 ロシア軍、武力紛争で子どもに対する重大な人権侵害を行っている当事者リストに掲載される。
国連事務総長が安保理に毎年提出している報告書で、子どもの殺害や学校・病院への攻撃を行った紛争当事者として名指しされたもの。リストには掲載されなかったものの、ウクライナ軍による同様の人権侵害についても懸念が表明されている。
6/28 韓国で約8割が子どもの権利保障法の制定を支持していることが判明。
セーブ・ザ・チルドレン・コリア(韓国)が6月中旬に実施した、おとな1,000人を対象とする子どもの権利意識調査に基づくもの。必要ないという回答は6.1%に留まった。
6/30 スコットランド(英国)政府が「学童保育についての全国子ども憲章」を発表。
政府が民間団体と協力して実施し、125人の子どもの参加を得たワークショップを踏まえてまとめられたもの。学童保育の現場で尊重されるべき原則として、親切さ、コミュニティ、公正さ、幸せ、楽しさ、選択の6つを挙げている。
6/30 韓国・子どもの権利保障院、「子ども尊重用語辞典」を発表。
子どもを貶めるような単語や表現を例示したうえで、それに代わる表現を提案するもの。いわゆる「ノーキッズゾーン」(子どもの立入り・同伴を拒否する空間)についても、「消えなければならない文化」と位置づけた。
7/2 韓国の子ども・若者向け個人情報削除サービスへ2か月余りで約3,500件の申請があったと発表される。
自らオンラインに投稿した個人情報の削除を支援する、デジタル版「忘れられる権利」を子ども・若者(24歳以下)に保障するためのサービス(4月24日から施行)。高校生相当の年齢層からの申請が4割弱を占めた。
7/31 ウェールズ(英国)の子どもコミッショナー、大規模アンケートの結果を発表。
アンケートは2022年10~11月にオンラインで実施されたもので、8,830人の子ども・若者を含む1万人以上から回答があった。アンケートの結果を踏まえた、コミッショナーの今後3年間の活動方針もあわせて発表されている。
8/8-10 韓国で第20回「大韓民国子ども総会」が開催される。
地域子ども総会で選出された子どもたち100人が集まり、「ノーキッズゾーン」の廃止を含む政府への要望(14項目)をまとめた決議文を採択した。