情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二2023年9月1日~2023年11月30日

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  • 2023.12.20 情報BOX【国際編】 #はらっぱ #PICKUP

    情報BOX~子ども・若者をめぐる動き【国際編】提供:平野裕二2023年9月1日~2023年11月30日

国連・地域機関・国際NGOなど

9/1 OHCHR国連人権高等弁務官事務所)、子どもの社会的保護に関する報告書を発表。

「子どもの権利と包摂的な社会的保護」と題されたこの報告書は、24か国・600人以上の子どもたち(5~17歳)の参加を得て作成された。とくに、すべての子どもを対象として「普遍的子ども手当」を支給する必要性を強調。

9/4 国連・子どもの権利委員会の第94会期が始まる。

今回の審査対象国は、アルバニア、ドミニカ共和国、アンドラ、リヒテンシュタイン、キルギス、トーゴの6か国。

9/4 欧州評議会、子どもに対する暴力に関する通報・報告システムの強化について勧告。

子どもと直接・間接に接触する専門家およびボランティアが、子どもに対するあらゆる形態の暴力について通報・報告するための制度の強化について定めたもの。通報・報告を怠った専門家への適切な処置・制裁も促されている。

9/18 国連・子どもの権利委員会、一般的意見26号の発表イベントを開催。

あわせて、一般的意見26号(とくに気候変動に焦点を当てた子どもの権利と環境)のチャイルドフレンドリー版と、子どもたちの声をより詳しく紹介する冊子も発表された。

9/18 ユニセフ、子どもの権利とSDGs(持続可能な開発目標)に関する報告書を発表。

子どもに関連するSDGs指標の3分の2が達成されないままとなるおそれがあり、このままでは140か国の子どもたち約19億人が取り残されかねないとして、SDGs達成に向けた行動を加速させる最前線に子どもたちを据えなければならないと強調した。

9/21 ENOCが「独立した子どもの権利機関」についての立場声明を採択。

34か国・44機関が参加するENOC(子どもオンブズパーソン欧州ネットワーク)は、この立場声明で、子どもオンブズパーソン/コミッショナーのような独立した子どもの権利機関の重要性と役割をあらためて訴え、各国にこのような機関の設置・強化を促した。

9/22 国連・子どもの権利委員会の第94会期が終了。

今回審査を行なった6か国についての総括所見を採択したほか、個人通報制度に基づく通報の審査に基づき、アルゼンチンとデンマークについて条約違反を認定した。

9/27 国連人権理事会、ネットいじめに関するパネルディスカッションを開催。

出席したアルーナシフ国連人権副高等弁務官は、この問題に対処していくためにはホリスティックなアプローチが必要であり、子どもたち自身の声を聴くことがその中心に位置づけられるべきであることを強調するとともに、テック企業の責任にも言及。

10/6 ユニセフ、気候変動で避難を余儀なくされた子どもについての報告書を発表。

2016~21年の6年間に、44か国でのべ4,310万人の子どもが気候関連災害(洪水・暴風雨・干ばつ・山火事など)で避難生活を余儀なくされたことがわかった。ユニセフは、今後の対応として保護(Protect)・備え(Prepare)・優先(Prioritize)の3P戦略を提唱。

10/11 「人権教育のための世界プログラム」第5段階の重点領域が決定される。

「若者」を重点領域とする第4段階(2020~24年)終了後の第5段階(2025~29年)でも引き続き「若者」に焦点を当て、優先対象として「子ども」を含める旨を、国連人権理事会が決議。来年9月に第5段階の行動計画案が提出される予定。

10/11 国連・子どもの権利委員会、条約第5条(親の指示・指導)に関する声明を発表。

同条にいう親の指示・指導は、とくに「子どもの発達しつつある能力」を踏まえた適切なものでなければならないという見解を、整理された形であらためて表明したもの。

10/26 ILO(国際労働機関)、保育への投資効果を確認した調査結果を発表。

育児休暇終了時から初等教育開始までの子どもを対象とする普遍的な保育サービスに投資することで、投資効果がおよそ3.7倍(1ドルあたり約3.7ドル)にのぼることを確認。

11/3 OHCHRがインターセックスの人権に関するテクニカルノートを発表。

インターセックス(男性・女性の身体の典型的定義に当てはまらない性的特徴を持って生まれてきた人々)の人権について、強制的医療介入や差別の禁止、ジェンダーアイデンティティの法的承認など、国際人権法に基づく7つの原則を掲げたもの。

11/13-22 国連・子どもの権利委員会、太平洋諸島国を訪問。

2020年3月にサモアで開催された第84会期のフォローアップを目的とするもので、そのときの審査対象国3か国を手分けして訪問するとともに、サモアの首都アピアで委員会の勧告の実施に関するワークショップを開催。ワークショップには全12か国が参加した。

11/20 世界子どもの日にあたり、国連・子どもの権利委員会が声明を発表。

世界子どもの日が「武力紛争で最近命を落とした多くの子どもたちを哀悼するための日」になってしまっていることを憂慮し、武力紛争における子どもの保護をあらためて訴えた。

11/23 ユニセフ、世界の子どもが直面している水不足についての報告書を発表。

すでに水不足が(非常に)深刻な地域で暮らしている子どもは世界で3人に1人(7億3,900万人)にのぼり、この状況は気候変動によりさらに悪化するおそれがあると警告。

各国動向

9/4 スコットランド(英国)で新子ども・若者コミッショナーが正式に活動を開始。

任期は5月からだったものの事情により着任が遅れていたスコットランドの新子ども・若者コミッショナー、ニコラ・クリン氏(元教諭・NGO代表)が正式に活動を開始。子どもたちから意見を聴いて今後の活動計画を定める方針を明らかにした。

9/15 イングランド(英国)の子どもコミッショナー、子ども向けの大規模アンケートを開始。

「ザ・ビッグ・アンビション」(大きな野心)と題するアンケートで、2024年12月~25年1月までに行われる予定の総選挙に向けて、イングランドの子どもたちが大切だと考えていることを把握するためのもの。0~18歳が対象。

10/12 国連・子どもの権利委員会、イスラエル・パレスチナ戦争に関する声明を発表。

ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃を契機として10月7日に始まった戦争の過程で、多数の子どもの殺害を含む重大な子どもの権利侵害が生じていることに憂慮の念を表明し、国際人道違反の停止、人質状態に置かれている子どもの即時解放などを求めた。

10/24 国連人権専門家、パレスチナの子どもたちの状況について国連総会に報告。

パレスチナの人権状況に関する特別報告者が国連総会に毎年提出している報告書を踏まえたもの。パレスチナの子どもたちは10月7日の戦争勃発以前から「子どもであることを許されない」状況に置かれ続けてきたことが強調された。

10/25 オーストラリア国家人権委員会、「子どもの権利影響評価」に関する報告書を発表。

ユニセフ・オーストラリアと共同で作成したもので、7つの段階に沿ってどのように子どもの権利影響評価を進めていくべきか、詳しく説明したもの。

11/1 国連・子どもの権利委員会、イスラエル・パレスチナ戦争に関する声明を再び発表。

10月7日以降、3,500人以上の子どもが殺害されてきたことや子どもが人質とされていることに深い憂慮の念を表明し、即時停戦、子どもの人質の即時解放、子どもたちの保護および支援の提供などを、あらゆる当事者に対してあらためて求めた。

11/21 アイルランド政府、子ども・若者のための新たな国家政策枠組みを発表。

1,200人以上の子ども・若者との協議を踏まえて作成された、「若きアイルランド」と題するこの政策枠組み(2023~2028年)では、「子ども・若者の権利を全面的に尊重・実現するアイルランド」が目指されている。

(平野裕二/ARCAction for the Rights of Children=代表)

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