はらっぱ2020年3月号 特集:『児童虐待の根っこを探る』
◆一人ひとりが大事にされない社会構造とその変革/安冨 歩
◆新しい「かぞく」を生きる/櫨畑敦子
◆子どもたちがつくってきた包摂地域こども支援センター/荘保共子
◆母親を降りてもいい~私たちは親の代わり?~
超党派の議員立法で児童虐待防止法が制定されたのが2000年。子どもが生まれ育つ基盤となるはずの場所=家庭で起きる子どもへの人権侵害に、ようやく社会的関心が向けられるようになって20年になります。その後、児童虐待防止強化をめざして何度も法改正がおこなわれてきました。けれども、児童虐待相談は増加の一途をたどり、痛ましい児童虐待死亡事案も後を絶たない現状があります。2020年4月施行の法改正においては、児童相談所設置促進、児相の「介入」と「支援」の分離、医師や弁護士の常時関与、関係機関の連携強化等に加えて、子どもの権利擁護の仕組みづくり、養育者の体罰禁止の法制化等の対応強化策が議論されました。これを受けて、厚生労働省は体罰の具体例などを示した体罰禁止ガイドラインもまとめています。
けれども、こうした専門機関の機能強化やあるべき子育てのガイドラインでは、児童虐待の根っこに届かないもどかしさを感じるのです。このもどかしさはどこから来るのか?児童虐待の根っこはどこにあるのか?私たちの問いかけに4人の方が寄稿してくださいました。
安冨歩さんは、そもそも今の国家・社会の成立基盤に内包する問題ではないか、と考える視座を提起してくださいました。続いて3人の方から日々の生活、実践を通しての問題提起です。そこからは、今の社会が前提としているあるべき「家族」や「母親」、「子育て」の呪縛、あるべき姿に近づけようと働きかけることでむしろ排除され追いつめられていく現状、そして、従来の「子ども観」や「児童福祉」のあり方のとらえ返しを、という提起が見えてきます。 (田中文子)
インクルーシブ教育実現のための道筋を探る/一木玲子・福地健太郎
連載第4回 乳児のあそび~一人ひとりのあそびからの出発とチーム保育/チームはらっぱ
「Minamiこども教室」の外国人家庭への寄り添い-社会のありようを見つめなおす
/金 光敏
子どもの権利条約の行方(その2)/吉永省三
カナダ・LGBTの子どもたちを支える/山田公二
連載第4回 民主的な教育を実現するために/武田 緑
連載第3回 新型コロナウイルスとテレビニュース/西村寿子
書評(60p)
クリッピングジャーナル(62p)
編集室(64P)