『はらっぱ』2025年3月号 特集: インクルーシブ教育とは?―障害児の教育権から考える
特集:
◆障害児教育の現状とフルインクルーシブ教育への課題/堀正嗣
◆障害児の声がきかれていない~特別支援学校に通って、感じたこと・考えたこと~/橋口侑果
◆子どもたちから学んだこと~就学認定に関する人権救済申し立てをして~/山本季枝
◆就学年齢に達した子どものいる全ての家庭に「地域の学校の就学通知」を/松森俊尚
一人ひとりの子どものニーズに応じた特別支援が保障される、っていいことではないか? 特別支援学校になぜ反対するのか? との声に出会うことが少なくない。日本の特別支援学校制度はインクルーシブ教育に逆行しているとの国連障害者権利委員会からの勧告に対して、文科省は特別支援学校堅持を表明しており(2022年9月)、子どもの教育権保障をめざして、どのような観点に立って取り組んでいくのか、広く丁寧な議論が求められていると思う。
まず現実から考えたいと、特別支援学校卒業生の橋口侑果さん、就学認定に関する人権救済申し立て中の山本季枝さんに寄稿をお願いした。自ら通常の学校か特別支援学校かを選ぶのではなく、専門家のニーズ判定により、通常の学校は無理だと指導されるのだ。お二人は、世間から存在が認められていないような、社会から分離して囲い込まれたような深い孤立感を語られている。「すみません」と頭を下げてばかりの子育てだったと述懐される保護者も多いが、橋口さんは、特別支援学校で「ありがとう」「すみません」の練習をさせられたと書かれており、こんな社会は変えていかなければと思う。
松森俊尚さんは、能力主義、優性思想に根を持つ大きな問題だが、小さいことからコツコツと、と学齢期になった子どものいる全ての家庭に「地域の学校への就学通知」を出すように働きかけようと。確かに。あなたの自治体はどうですか?
堀正嗣さんは、障害児教育の歴史を振り返り、全ての子どもが十分な支援と合理的配慮を受けて共に学ぶ学校制度をつくる方向に抜本的に変えよう、そのためには、子どもの意見表明権の保障、子どもの声を聴こうと提案してくださった。 ( 田中文子)
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