『はらっぱ』2024年12月号 特集:市民が平和をつくる
特集:
◆いま平和をとらえ直す4つの視点
~国家ではなく市民から考える~/君島東彦
◆「ケアの倫理」から平和を考える~聴こえない声を聴く~/銘苅千栄子
◆「水俣病」から見えてくる平和~当事者へ寄り添う~/坂本一途
◆リンドグレーン著「暴力は絶対だめ!」によせて/T・T
◆在日朝鮮人にとっての戦争と平和/金 昌 五
本誌に連載中の岡真理さんの「ガザの子どもたち」。
前号では、子どもたちが語る夢が、今号には、幼い子どもたちの書く遺書が、伝えられました。占領と攻撃にさらされて生きる子どものリアルを前に、私たちはどうするのか、との問いかけです。
戦争が始まった、戦争を止められない、戦争の準備を進める……戦争のニュースに囲まれている社会です。暴力によって相手を倒し、自分は生き残るという論理は破綻しており、対話により相互の理解を深め、共存の道を探る他ないことは明白であるのに、国際政治の場では、人の命より国家の政治的・経済的利害が優先されてしまう。安全保障=平和の会議を開く一方で、どんどん人を殺していくことを正当化する。こんな究極の矛盾がなぜ許されるのかと地団駄を踏むのです。
君島東彦さん、銘苅千栄子さんの論考から、国家の論理は、相手を人、人間と見なしていないのだと気づきます。国家という枠組みを超えて、一人ひとりの生きる人として対話をつくっていく道が大切であり、またその道はいろいろあると知りました。
相手を人と見なさない人権侵害の状況は、残念ながら私たちの生活の中に厳としてあります。坂本一途さんは「水俣病」から、金昌五さんは「在日朝鮮人」からの問題提起を寄せてくださいました。私たち一人ひとりへの問いかけとともに、希望を受け取りました。
私たち一人ひとりは、国家を超えることができるという意味だけでなく、平和を妨げる存在になってはいないかと自問することも含めて、平和をつくる主体なのではないでしょうか。
今回もうお一人の寄稿が間に合いませんでした。急遽寄稿してくださったT・Tさんのお勧め本、読みたいと思います。 ( 田中文子)
連載第3回 集団からはみ出ているのは障がい児?/野島千恵子
ともに考えて、ともに歩む
~ひとりひとりの若者が頼れる支援を、関係をつくる~/今井紀明
大阪府の「高校授業料無償化」施策の矛盾/住友 剛
連載第3回ジェノサイドが「日常」となったガザで/岡 真理
子どもたちと歩んだ校則見直しのとりくみ/髙山 桂
連載第22回 大阪地検女性検事の勇気ある会見/西村寿子
連載第18回 アリストテレスの「選択」概念/安冨 歩