『はらっぱ』2023年3月号 特集:インクルーシブ教育への議論をひろげよう
◆インクルーシブ教育を考える重要な視点~国連主義を超えて~/桜井智恵子
◆不登校から考えるインクルージョン/山下耕平
◆みんなでともに ~インクルーシブ教育の現場で見えた可能性と難しさ~/藤本まどか
◆生まれて、生活していること自体を否定する日本という国/川本朋子
◆<座談会> 子ども会議のような学校をつくりたい/浅羽大地・直川宥澄・野中唯名
2022年9月9日、国連障害者権利委員会より日本政府への総括所見が出されました。多くの指摘がありましたが、教育については、分離された特別支援教育を中止し、インクルーシブ教育を受ける権利の保障を求めるものでした。ここには、同年4月に文部科学省から出された特別支援教育と通常教育との分離の明確化を求める「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」の撤回も記されています。障害児「共生・共育」を模索してきた私たちにとって、改めてインクルーシブ教育についての議論を深める機会にしたいと考えます。
子ども情報研究センターは、わくわく育ち合いの会と「国連障害者権利委員会の日本審査報告会from関西」を共催し、「大阪の子ども施策を考える市民研究部会」では、パネルディスカッション「学校の『フツー』を見直そう」を開催しました。こうした議論もふまえて、誌上での議論を続けたいと思います。
桜井智恵子さんは、議論の視点として、包摂しようとする社会に根深い開発主義、生産性思想そのものを問うことの重要性や「個別ニーズに応じる教育」にひそむ危うさを提起。山下耕平さんは、包摂は同化ではなく、休むこと・逃げることが認められない集団は怖いと。藤本まどかさんは、原学級保障で学んできたご自身が矛盾を抱えながらも小学校で取り組む原学級保障の実践を。川本朋子さんは、日本で生まれて、クラスにいること自体を否定されている子どもの存在を知ってほしいと。そして、子どもの権利に関する条例が制定されて10年の大阪府泉南市の若い市民からの発信は、学校も社会も全然インクルーシブじゃなくてつらいけど、「権利」でつながっていきたいと。ハッとして、ギクッとくる問題提起が並びました。( 田中文子)
連載第16回 「いままでは」から「いまここで」/チームはらっぱ
子どもの権利条約フォーラムから次の一歩へ/山崎 新
生徒指導提要の改訂 どう読むか――/吉永省三
連載第4回 韓国で暮らす外国ルーツの子ども/安ウンギョン
連載第4回 未来をワンダフル・ワールドに/久保 敬
連載第15回 岸田首相秘書官差別発言から/西村寿子
連載第11回 明石市長 泉 房穂さんとの対話から(3-②)/安冨 歩
書評(64p)
情報BOX~子ども・若者をめぐる動き(66p)
編集室(68p)