『はらっぱ』2024年6月号 特集:災害と子どもの人権
◆災害に向き合い、被災者の声を聴き、未来社会につなぐ/室崎益輝
◆防災と人間の尊厳や権利を切り離さずに考えるために
~「被災者」との出会いから学んできたこと~/宇野田陽子
◆2つの記録集が示す子ども参加の証
~災害に子どもはなにができるか/できないのか~/安部芳絵
◆災害と子どもの心のケア/高木眞理子
◆子どもたちと「防災」を考える/中田友貴
「『災害は忘れたころにやってくる』と言われた時代はすでに過去のものとなり、いまでは『災害は忘れる間もなくやってくる』と表現されるようになりました。」と、宇野田陽子さんの論考は始まっています。
確かに、これまでの経験をはるかに超えるような地震、津波、台風や集中豪雨などに頻繁に見舞われ、呆然としてしまうのです。防災研究の第一人者である室崎益輝さんの「災害は悲惨で残酷なもの」、しかし、正面から向き合って、絶望を希望に変える・過去を未来につなぐ復興を考えなければならないという言葉に、大規模工事や経済再生だけが前面に出る動きを捉えなおす観点を考えさせられました。
安部芳絵さんからは、東日本大震災(2011年)と西日本豪雨(2018年)における小中高校生世代の声の記録集から、災害時、保護される対象としてだけでは捉えられない子どもについての論考です。「何もできなかった」という声を取り上げられていることにハッとしました。高木眞理子さんからは、能登半島地震に見舞われた子育て中の親がもつ悩みと向き合い、親自身を尊重して支えていく取り組みの報告です。
中田友貴さんからは、校区で毎年続けられている人権総合学習の取り組みとつながって、災害についていろんな人から聞き、話し合い、考えた小学校5年生の実践です。
室崎益輝さんは、防災の研究者として阪神淡路大震災(1995年)で自ら被災者となり、研究姿勢が大きく変わったと言われています。被災者、被災地と直接触れ合う現場主義を重視し、被災者が語り合い物語を紡いでいくように作る復興計画「物語復興」や「人間復興」などに取り組まれています。
「防災」と子どもの人権が結ばれる論考が集まりました。どのように読まれますか。 (田中文子)
連載第1回 障がい児保育のはじまり/野島千恵子
高校生の沖縄スタディツアー/奥本匡伸
学校教育はこども基本法をどう活かしていくか――/吉永省三
文科省4・27通知に対する保護者の人権救済申し立ての結果とインクルーシブ教育を受ける権利/濱元伸彦
連載第1回 難民として生き延びるということ~占領下のガザで~/岡 真理
連載第1回 つながりの場に私たちがいること
~外国につながる子どもとともに~/岸 知明
連載第20回 77年目の「憲法施行日」/西村寿子
連載第16回『 ハムレット』と『冥途の飛脚』の「選択」/安冨 歩