『はらっぱ』2021年12月号 特集:『コロナ下、「戦争」を考える』
◆パンデミックと移動の自由
~「越境」「接触」「対話」がつくる広場の学び~/吉見俊哉
◆子どもの意見表明・参加の権利と“三分の一配分” への権利
~子どもの権利思想の探求者 J.コルチャックに学ぶ~/塚本智宏
◆差別を許さない社会をつくる~子どもたちとの約束~/崔江以子
◆おんなたちは尊重の花を植える
~宮古島からミサイル基地が撤去される日を夢見て~/石嶺香織
◆「遺骨土砂問題」意見書運動~「市民と野党の共闘」を探る~/西尾慧吾
コロナ禍でロックダウンの措置が取られたイタリアで、窓やベラン
ダ越しに、歌や楽器演奏を交換し、励まし合う市民たちの写真に深い
感動を覚えた。ヨーロッパでは、市民の知恵と行動により交流したり、
政策に抗議したりする動きがあったことを知った。
日本の場合は、逆に「自粛」だった。「自粛」は、まるで個々人の
判断に委ねるかのような表現だが、そこに個人の自由な判断、発言が
許されるわけではない。公園で遊ぶ子どもはいないかの見回り、夜の
営業をしている店へのヘイト落書き、県外ナンバーの車は出て行けと
の張り紙、感染者へのバッシング等々「世間」の監視による同調圧力
が強く働く。「同じ」であることでつながり、仲間外れにならないよ
うに周りに合わせ、そのつながりを強めるために「違い」を差別、排
除する。かつて知らず知らず進んでいた戦争への道と同じか。こんな
息苦しい状況を変えたい。変えていくにはどうしたらよいか。
吉見俊哉さんは、「越境」「接触」「対話」は手放してはならないも
のであり、まずは減速しようと。塚本智宏さんは、戦時下においても
ひとりの人間同士として子どもと対等であろうとしたJ.コルチャック
の思想を丁寧にたどってくださった。
崔江以子さん、石嶺香織さん、西尾慧吾さんからは、身近に迫る差別、
戦争に「ノー!」の声を上げることで激しいバッシングにさらされる
日本の現状、しかし、それは孤独な闘いではなく、そこから結ばれる
人の輪が確かにあるという希望を教えられた。 (田中文子)
連載第3回 歴史学の方法としての変身/藤原辰史
連載第11回 世界中の子どもたちが笑顔でいられますように/チームはらっぱ
ぐだぐだしていい場所/南部咲希
ヤングケアラー支援を考える/内田扶喜子
タイの学校とLGBTの子ども/川村暁雄
連載第3回 学校は教育課程をどう編成し実施するか/吉永省三
連載第10回 衆議院選挙投開票日翌日のニュース/西村寿子
連載第6回『 菅原伝授手習鑑』に見る日本社会の教育観/安冨 歩
書評(60p)
情報BOX~子ども・若者をめぐる動き(62p)
編集室(64P)