『はらっぱ』2022年9月号 特集:今改めて「子どもの声をきく」を問う
◆「子どもの声を聴く」意味
~名古屋市子どもの権利相談室「なごもっか」の活動から~/谷口由希子
◆子どもに届く「子どもアドボカシー」/奥村仁美
◆「子どもの話をきく」という実践
~子どもオンブズワークの探求の中で~/森澤範子
◆物語を読むように、きく/多田頼子
日本が子どもの権利条約を批准して28年。当初から政府は、子どもの権利は戦火や貧困等に苦しむ国の問題で、日本において新たに取り組むべき課題はないとの姿勢だった。が、2022年6月、新しいこども基本法制(こども家庭庁設置法、整備法、こども基本法)が成立し、来年度より施行されることとなった。こども基本法には、子どもの権利条約の4つの一般原則、「差別の禁止」「生命・発達の権利」「意見表明権とその尊重」「子どもの最善の利益」が明記された。こんな情勢の中でよくぞと思い、これらの文言を活かしていかなければと強く思う。
他方、必須である子どもコミッショナーの設置は見送られ、「こども庁」が「こども家庭庁」になるなど今後議論すべき課題も多い(本号「政策を読む」平野裕二論文参照)。こども家庭庁創設の基本方針には、今こそ、子ども政策を真ん中に据えて、少子化を食い止め、子どものWell-beingを高め、社会の持続的発展を確保することをめざす司令塔だと述べられている。相変わらず少子化対策、健全育成の流れも読み取れる中で、意見表明・参加の権利が、はきはきと自己主張し、社会に積極的に参画・貢献していく人づくりに利用されていくと、格差はますます広がり、子どもの生き難さも深まる怖さを感じる。
意見表明権が国の俎上に上り始めた今、改めて「子どもの声をきく」ことの意味、その中身、課題について考えたい。公的第三者機関として子どもの権利擁護に取り組み始められた谷口由希子さん、新しい子どもアドボカシー制度づくりに取り組む奥村仁美さん、日本初の子どもオンブズ制度の創成期に長く関わってこられた森澤範子さん、相談窓口から退かれた多田頼子さんの問題提起から考える。( 田中文子)
連載第6回 国葬を考える/藤原辰史
連載第14回 食べること(後編)/チームはらっぱ
放課後はだれのもの?/栗栖真理
ようやく制定された「こども基本法」-期待と課題/平野裕二
連載第2回 気候危機と子ども/安ウンギョン
連載第2回「 公教育」とは何か/久保 敬
連載第13回 主権者としての自覚を持つために/西村寿子
連載第9回 明石市長 泉 房穂さんとの対話から(2)/安冨 歩
書評(62p)
情報BOX~子ども・若者をめぐる動き(64p)
編集室(66P)